昨日の西岡のブログを書く際に躊躇したのは、手厳しい反論をいただくことが予想されたからだ。しかし、書くべきだったと思っている。いつもながら少々僭越だったとは思うけれども。
一つの出来事に対して、違う感じ方をする人がいるのはごく自然のことだ。価値観は人によって異なるし、倫理観や社会常識に関する意識も様々だからだ。
しかし、自分のサイトで書くうえは、他の人の意見に左右されることなく、自分の考え方だけで書く。改めて原理原則を述べておきたい。

私は野球選手には、「対戦相手も含めた選手相互」と「野球という競技」に対するリスペクトの気持ちを持ってほしいと思う。

対戦相手は「敵」ではあろうが「仇」ではない。競技をする上では寸毫の手加減もすべきではないとは思うが、競技が終われば互いに認め合い、尊敬しあう間柄であってほしい。

森本稀哲に対して西岡剛がとった態度は、一言でいえば「惻隠の情」に欠けていた。
先輩に対して失礼な言葉を吐いた、という表面的な部分だけでなく、戦力外からテスト入団と言う森本が置かれた境遇に対して「我がことであればどうであろうか」と思い遣る余地があってしかるべきだった。
「勝敗は時の運」というが、今、スターとして輝いている西岡が、数年先に森本のような境遇に置かれることだってあるのだ。そのことを考えるべきだったと思う。

バラエティだからという意見もあったが、バラエティだからこそ本音が見えてしまう。一言でいえば「洒落にならない」発言だった。
「西岡は裏でフォローをしていたはず」と言う意見も頂いたが、テレビで失礼なことを言って、裏でフォローをすることに何の意味があるのだろうか。森本が「後輩からも馬鹿にされた」と受け取められた事実は覆らない。

西岡は「受ける」「洒落と受け止められる」と判断して発言したのだろう。少なくとも私から見れば、その感覚はずれている。そう受け止めた人は少なからずいたはずだ。

同様のずれを西岡剛にはたびたび感じてしまう。西岡は自分と同じ感覚を有する人間にだけ受ければよいと考えて発言しているのかもしれないが、それは「独りよがり」というものだ。ぽっと出の少年ならばともかく、彼は今年30歳になる立派な社会人なのだ。彼の言動の影響力は非常に大きいのだ。

「グラティ」なるものについて、あれは西岡の発案ではないとの意見も頂いた。しかし、彼が率先してあのお遊戯をやっていたのは間違いがないところだ。
ああいうものを見て、常々思うのは、「殊勲打を上げて嬉しいのは十分に伝わっているのに、なぜその上、あんなことをするのだろうか」ということだ。

オリンピックなど国際大会での韓国チームの振る舞いを、我々は苦々しく思ってきたはずだ。
WBCで勝った後にマウンドに国旗を立てたり、政治的な主張をしたり、相手チーム(主に日本)の方を向いて、歓声を上げたり。
彼らは「勝負に勝てば何だって許される」「相手を侮辱しても良い」と思っているのだ。そして敗者は「何をされても文句は言えない」と思っている。
スポーツの勝敗も「時の運」である。勝つこともあれば負けることもある。過度な「喜び」や「示威行為」は、勝者が敗者を思いやらないという点で、浅薄な行為だ。
スポーツは戦争ではない。競技が終われば、まさに「ノーサイド」であって、敵味方隔てなく互いに敬意をもって接するべきだと思う。



もちろん、「グラティには相手チームを侮辱する意図はない」と感じる人もいるだろう。相手チームのファンの中にも「別にかまわない」と思う人もいるだろう。まさに人それぞれだ。
しかし、私は「グラティ」は、「過度な喜びの表現」であり、「独りよがり」だと思う。

こうしたお遊戯は、相手チームにも伝搬してエスカレートする恐れがある。
私は巨人ファンだったことは一瞬一秒もないが、巨人がこういう示威行動をすることはあまり見たことがない。「紳士たれ」という言葉が抑止力となっているのではないか。
しかし他球団で広がる可能性がある。野球の品が無くなると思う。
何事も昔の方が良いとは言わないが、野球の試合で、野球以外のことで騒ぐのはほどほどにしてほしいとも思う。

さらに言えば、こういう誰でもできるパフォーマンスは、子どもが真似をする。少年野球や高校野球での選手たちのアクションは年々派手になっているが、そういうアクションをさらに覚えることで対戦相手への尊敬の念はますます薄らぐのではないかと危惧する。

総じていえば、「独りよがり」がキーワードではないかと思う。

しつこいとは思ったが、たくさんいただいたコメントへのリターンの意味も込めて、もう一度だけ申し上げた。


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