先日、「田中将大と井川慶は、比べものにならない」という趣旨のコメントをいただいた。その方はRSAAという指標を使った。
意見の是非は別として、この数値、面白いなと思った。
セイバー的な数値は好きで、いろいろ試してみるのだが、使うことができる指標は少ない。
私は自分で数字がいじることができる指標でないと使う気になれない。
フライアウト、ゴロアウト、フェアフライによるアウト数、外野フライ、飛んだ飛球の位置など公式発表されていない数値に基づくデータは確かめようがない。
今だけでなく、過去のデータも比較したいので、昔にさかのぼって適用できない指標も使わない。
さらに言えば、RCとXRのように、微妙に数値は違うが、相対的な比較をする上では位置関係がほとんど変わらない指標も使わない。
もう一つ言うなら、私は文科系で数学はひじょーーーにダメだったので、自分が理解できない指標も使えない。

そういう考えなので「セイバーメトリクスの徒」とは言えないと思うのだが、最近はセイバーメトリクスを駆使する、みたいな紹介のされ方もする。
こないだ雑誌の方から「サイバーが得意な広尾さん」と言われた。あの選手の未来を予言してくれ、とか言われるのではないかと思った。

さてRSAA(Runs Saved Above Average)は、投手が平均よりどれだけ失点を防いだかという数値だ。
以前から知っていたが、自責点ではなく失点をベースにしているのであまり重要視していなかった。
しかし、RSAAは先発投手、救援投手を同じテーブルで比較することができる。投手の貢献度をトータルで見ることができる。
これは面白い、と思ったので今後は使ってみることにした。
数式は単純

RSAA=(リーグ平均失点率-失点率)×投球回÷9

リーグ平均の失点率を出すのが面倒だが、後は簡単。数値が0を超えれば貢献しているし、マイナスなら足を引っ張っていることになる。

投球回数を掛けるからイニング数が多い方が数値は上がるが、失点率の平均との差が大きければ救援投手でも大きな数値になる。

貢献度を端的に知る手段として面白い。

NPBの2013年のRSAAランキング 
セリーグ 2013年登板した投手は165人いる。トップ50

RSAA-CL2014


トップは前田健太。続いて能見。このあたり納得するが、3位に巨人のクローザー西村。
確かに昨年の巨人先発陣はぱっとしない印象だった。圧倒的な戦力と言われながらややもたついたのは、これが原因だと思われるが、それを証明するように、3位西村の下に5位マシソン、6位山口と巨人の救援投手が3人も入ってくる。さらに9位に不振で先発から救援に回された沢村も。

菅野、杉内は16、17位、内海に至っては32位である。プラスではあるが、先発投手の不出来を救援投手が救ったという図式が浮かび上がってくる。

対照的に阪神は能見、メッセンジャー、藤浪と先発投手が上位に来ている。先発がしっかりしていたのだ。

他の4球団は投手陣で大きく見劣りしていたことが分かる。
広島はマエケンが突出。ヤクルトは小川、石山と新人がベテランの不振をカバー、DeNAは先発投手は50位以内にいない。

ワースト50

RSAA-CL2014-2




DeNAのエース三浦大輔は、RSAAでは「チームの足を引っ張った」ことになっている。DeNAの選手がずらっとならぶ。ヤクルトの石川雅規も同様。ただこの二人は失策による失点も多く、ERAとRAの差が大きい。

極端な数字だなとは思うが、こうした見方も可能だと言うことだ。
稿を改め、パリーグも見ていく。

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