FAを改定すれば、当然MLBとの関係も変わってくる。
FA権を20歳までは6年、21歳以降は4年と決めると同時に、海外FA権も同じ年限で取得できるものとする。
ただし、国内は権利というより年限が来れば(それ以前に複数年契約をしていない限り)自動的にFAとなるが、海外FAは本人が宣言しない限り取得できないこととする。
これは、MLB、NPBの各球団が入り乱れての争奪戦を繰り広げないための措置である。

海外FAを宣言した選手のリストは、NPB機構からMLB、コミッショナー事務局に連絡される。
あとは自由競争、というやり方もあるが、ドラフトや入札による指名も考えられる。一部の選手への集中を避けるという意味からだ。

MLBにとっての「海外市場」だ。

「海外市場」は、NPBだけでなく、KBOや、CPBL、オーストラリア、ドミニカ、ヨーロッパなどを加えた「世界市場」になってもよいかもしれない。
また、参加できる球団も、MLB、NPB、KBO、CPBLの4大リーグの球団になっても面白いかもしれない。この場合、エントリーするのはNPBなどの機構ではなく、球団単位になる。
つまり、海外FA宣言した選手は、その球団から「売りに出す」のだ。

ちょっと人身売買めくが、国際的なトレード(金銭トレード含む)がここで行われれば、大きな話題になるのではないか。

もちろん、経済格差はけた外れに大きいから、各国の大物選手はほとんどMLBに取られるだろうが、MLBの若手、中堅どころもこの市場に出てくるから、NPBにとっては外国人選手を獲得する格好の機会になる。

NPBは「外国人枠」を廃止し、全面的に各国の選手を受け入れる。
これは推測だが、外国人枠を廃止してもすぐには「外国人だらけ」の球団は生まれないと思う。
そういうチームは日本で人気は出ないだろうし、NPBの精緻な野球に順応できる外国人選手がそれほど多いとは思えない。
ただ長期的にみれば、NPBでの外国人の比率は増えるだろう。

NPBからMLBに挑戦した日本人選手がNPBに復帰する際は、再び「海外市場」を経ることも考えられる。また、MLBでいうFAとなって、個別にNPBと契約しなおすこともできる。復帰の際の障壁もできるだけ小さくする。

障壁が下がれば、NPBからMLBに挑戦する選手は増える。ただし、田中将大のような高額での移籍はむしろ減るだろう。
マイナーリーグの選手と同様、マイナー契約からMLB昇格を目指すような選手が大部分になろう。
MLBへの挑戦が「冒険」ではなく、普通の移籍のようになればよい。

こうした形でゆるやかに、MLB、NPBは融合していけばよいのではないか。




ただし、NPBが、「金儲けができないぼんくら集団」のままであれば、MLBのマイナーリーグになってしまう可能性も否定できない。

TPPではないが、障壁を下げるということは、自分たちがしっかりしなければ「相手に取りこまれる」ことを意味する。

しかし、今の時点ですでに「人材流出」は起こっている。MLBはNPBの選手を「いいとこどり」している。
そして最近は野手を中心にMLBですぐに通用しない選手には、チャンスを与えないなどシビアな選別を始めている。

NPBはパワーやスタミナ、スピードでMLBにはかなわないが、WBCで見られるように細かな戦術やチームプレーによる「総合力」でMLBに優っている。
そういう人材を育成できるリーグとして、MLBに対抗することは可能ではないか。

またアジア市場を傘下に置くことでボリューム的にもMLBと対抗できるのではないか。

NPBはむしろ積極的に「開国」し、人材交流を活発にする中で、経営改革や新たなビジネスモデルを構築すべきだと思う。

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!



クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。 吉田義男は金田正一から何本本塁打を打ったか?

Classic Stats



『「記憶」より「記録」に残る男 長嶋茂雄 』上梓しました。





「読む野球-9回勝負- NO.2」私も書いております。




広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。