ショックだ。NPBの改革を明快に説いたスポーツマネジメントの専門家だった。
大坪氏は伊藤忠時代にNBAとのライセンス契約を担当、1990年11月2日にNBAの世界初の海外公式戦(東京体育館 フェニックス・サンズ対ユタ・ジャズ戦)を実現させた。

その後、スポーツマネジメントが専門の経営コンサルタントとしてヤクルト・スワローズの経営などに関与。
そして帝京大学の教授となった。

大坪氏の一連の著書は、NPBの将来を考える上で最も重要な本だと言ってよい。












大坪氏はMLBなど北米4大スポーツのビジネスモデルに倣って

・コミッショナー権限を強化する
・放映権ビジネス、フランチャイズビジネス、ライセンスビジネスは機構側の管掌とする
・球団は、本拠地球場との経営の一体化を図る

ことを基本としておられた。
NPBが、こうしたビジネスを一手に担当することで、スケールメリットができ、民放キー局など大手メディアや、ナショナルスポンサーと対等に交渉ができ、包括的なビジネスが展開できると説いておられた。

私が考えるNPBの改革の方向性は、大坪氏の著書に学んだものだ。

ただし、大坪氏は何でもかんでもMLB流に変えればよいと考えておられたわけではなく、日本というビジネス環境に則した改革をすべきとも考えておられた。

個々の球団の経営状態にも言及し、最近のパリーグ各球団の経営改革に対して一定の評価をしておられた。

昨年、私はお目にかかってしばらく話をさせていただく機会があった。
シャープな方で、NPBの問題点を明快に話しておられた。

大坪氏は北米スタイルのスポーツマネジメントが、ヨーロッパのサッカー資本にも影響を与えつつあることを指摘しておられ、今後はヨーロッパのスポーツビジネスについても取り上げたいとの意向を示された。

大坪氏は理想論を語らず、数字をベースにした現実論を積み上げる人だった。商社マンとしての怜悧な頭脳の持ち主だったのだ。

またJリーグがJ3を創設したことについては、性急に過ぎると批判的だった。

昨年、楽天イーグルスなどでマネジメントを担当し、加藤前コミッショナーやオーナー会議に対しても改革案を進言した並木裕太氏がこういう本を出した。



基本的には大坪氏の考え方と同じ。

お目にかかったときに並木裕太氏の著書について触れ、
「先生のお考えとほぼ同じでしたよ」
と話すと、まだ読んでないんだが、と前置きをして
「スポーツマネジメントを知っている人なら、だれでも同じ結論に達するんですよ」
と言われた。

NPBはコミッショナーが交替したが、まだ特定球団の意向が強く働き、旧弊なビジネスモデルに固執している。
しかしながら、PLMの創設など、パリーグを中心にすこしずつ改革の動きも見て取れるようになった。

これから大坪氏の見識が必要になるはずだった。まさに痛恨。

単なる部外者であり、何の権限も有してはいないが、私は大坪氏の考えをさらに深く学んで、今後もNPBの改革について情報発信していきたい。


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