甲子園歴史館、最初のコーナーは中等学校、高校野球。続くコーナーはもちろん阪神タイガースだ。
その手前に甲子園ボウルの展示がある。
私は門外漢だが、これ、ちょっと感心した。この展示を企画した永井康晴さんは、野球だけでなく「甲子園で行われたすべてのこと」を展示しようとしている。敬服する。

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さらに、1934年のメジャーリーグ極東遠征時の資料が。
ベーブ・ルースのモニュメントは甲子園の外周にも飾られているが、当時の資料がコンパクトにまとめられている。好事家が収集していたのだと言う。

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そして阪神タイガースの展示。華々しい歴史が大ボリュームで展示されている。

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マニアックで面白いものがいくつもある。
鎌田実のグランドコート。温かそう。デザインも良い。何とリバーシブルだ。

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これ、お分かりの人は相当の通だ。
阪神ジャガーズとは阪神の二軍。1955年ウェスタンリーグの優勝。この時の主力選手には浅越桂一、梅本正之らがいた。

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往時のユニフォーム。右は田淵だが、足のひし形のラインが嫌に太く見えたのを覚えている。ブルーのユニフォームは足が短く見えた。

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バックスクリーンの裏手に当たるゾーンは狭くなって立体的な展示ができない。しかしそれを逆に生かして面白い展示がされている。
一つは「懐かしの選手名板」。1983年まで実際に使われていた選手名板を展示している。
阪神だけでなく、他球団のものも。昭和時代、私たちはスタンドから、あるいはテレビを通して、この名板を見ていたのだ。

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名板の書体はオリジナル。球団職員が受け継いできたのだと言う。電光掲示板を導入するときに、この書体に似せたフォントをわざわざ作成した・

もう一つ、感心したのはその奥にあった「まんがと甲子園」のコーナー。野球漫画では甲子園はもっとも多く登場する場所だそうだが、古今の甲子園にまつわるまんがを展示。これには圧倒された。
床面には「ぬぉおおお」という声がペインティングされている。

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甲子園は「まんが文化」を語る上でも欠かせないのだ。

試合が行われていないときにはバックスクリーンからの球場の景色を楽しむことができる。あいにくこの日は選抜準々決勝が行われていたのでなし。

さらにその奥には企画展示コーナーと甲子園ヒストリー、甲子園ひろばがある。
企画展示コーナーはこの時期は選抜甲子園の歴史を展示していた。

また、ドラフト会議のシミュレーションができるコーナーもあった。

私が一番感心したのは、このミュージアムが「活きている」ということだ。
入口にある白球の展示が、初出場の学校が増えるたびに書き加えられることはすでに述べたが、それだけでなく、阪神タイガースの背番号の歴史や、高校野球の甲子園の「やぐら(トーナメント表)」も、書き足すことを前提にスペースが取ってある。

また企画展示コーナーは年に何回も変わる。
もちろん、博物館で企画展をやるのは当たり前だが、一野球場の展示でここまで力が入っているのは稀有だろう。
面積は東京ドーム下の「野球殿堂博物館」とほぼ同じ大きさだが、密度と熱意ではそれを上回っているように思えた。

阪神ファンだったことは一瞬たりともないが、野球、野球文化を一番大切にし、後世に伝えようとしているのは阪神が主有する甲子園であるのは間違いないところだ。
今まで行かなかった不明を詫びたい。

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甲子園歴史館は、今後定期的に行こうと思った。

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