しばらく間が空いたが、IBLJ+の記事。
これからはリーグのビジネスモデルや経営についても考えていく。リーグはディスクロージャーを積極的に行っているが、初耳の話も多いのではないか。
愛媛の統括責任者にお話を伺った。非常に興味深いインタビューになった。
1日遅れの開幕戦当日、お忙しい中、愛媛マンダリンパイレーツの取締役球団統括マネージャー、田室和紀氏はインタビューに丁寧に答えてくださった。
短い時間だったが非常に有意義だった。

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「私は四国アイランドリーグの設立時からかかわっています。石毛宏典さんが四国で独立リーグを立ち上げると聞き、『手伝わせてください』と売り込んだんです。私は星企画という広告代理店に勤務していましたが、会社も巻き込みました」

ちなみに、愛媛マンダリンパイレーツの社長は星企画の薬師神績氏だ。

「当初は試合はほとんど『坊っちゃんスタジアム』だけでした。この球場はNPBのオールスターゲームが行われるようなすばらしい球場ですが、われわれには贅沢な球場でした。そこで、愛媛県内の他の球場も回るようになりました」

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しかし四国アイランドリーグの球団は採算が非常に厳しい。愛媛球団も負債が約1.8億円にも上った。

「そのときに、当時の愛媛県知事の加戸守行氏、現知事で当時松山市長だった中村時広氏、愛媛銀行さんのご支援をいただいたのです。
愛媛県、松山市、県内の市町、そして愛媛銀行さんの呼びかけで県内の75社の企業が出資し、県を上げてのバックアップ体制ができました」


まさに広島東洋カープの上を行く「県民球団」である。

この結果、本拠地「坊っちゃんスタジアム」での試合数はさらに限定的になり、県内各地で試合をすることとなった。

「観客動員だけを考えれば、『坊っちゃんスタジアム』でやるほうがベターだと思います。松山市は四国一の都市ですから。でも、県民の皆さんの支援を受けていることを考えれば、各地で開催すべきだと思いました。島嶼部の球場などは規模も小さいし、周辺の人口も少ないので観客動員だけを考えると厳しい条件ですが、県民の皆さんへの浸透を考えて試合を行っています。
ほとんど『坊っちゃんスタジアム』だけでやっていた頃は、1500人以上の動員がありましたが、今は約700人。でも数字以上に県民の皆さんへの認知度は広がっていると思います」


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それでは愛媛マンダリンパイレーツのビジネスモデルはどうなっているのか。

「ひとつは、優秀な選手を育成してNPBにドラフトで指名してもらうことです。契約書にも明記されていますが、選手の移籍に際しては、球団にも一定額の育成費が入ります。
そして、一人でも多くのお客さんに愛媛マンダリンパイレーツの試合を見ていただくこと。
さらに、県内企業にスポンサーや後援会に加入いただいてバックアップしていただくこと。この3つですね」


選手の育成は、日本人だけではない。四国ILからはアレッサンドロ・マエストリ、フランシスコ・カラバイヨの2外国人選手もNPBに移籍している。この際も移籍金が四国IL側に支払われた。年に一度のドラフトを経由しない分、外国人選手のほうが移籍はスムースだ。

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さらに、NPBからファームの選手を預かることもしばしばあるが、この際には選手の年俸はNPB球団持ちになる。また、元NPB選手がNPBへ途中移籍(復帰)する場合も移籍金交渉が行える。
そういう意味では、NPBとのつながりは思いのほか強い。

また、今後は独立リーグからMLBなど海外への外国人選手の移籍も視野に入れているという。四国各球団には、すでに多くの外国人選手がプレーしている。
MLB側もIBLJなど日本の独立リーグに注目している。

「なんといっても一番は、よい選手を育てること。選手が育てば、お客さんも喜ぶし、選手もNPBなど上のステージへ行くことができる。われわれにとってはそれが実績になります。当たり前のことですが、愛媛マンダリンパイレーツの未来は選手が切り拓くんです」

田室氏は、独立リーグの存在意義を明確に語ってくれた。


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