毎年、NPBとMLBの全球団の補強状況をチェックしてプレビューを書いている。
NPBは3月になればもうチームはほとんど動かない。前年からほとんど変わらないチームも多い。しかしMLBは違う。
2年前まで3月になれば各球団のチェックをしていた。
しかし、MLBはそこから激しく選手が動く。開幕前に戦力評価をしても、ふたを開けてみればえらく変わっているケースもあった。

そこで、昨年から、開幕直前からチェックをはじめ、一気に紹介するように変えたのだ。

毎年、約2000人の選手のステイタスを確認し、移動をチェックして表を作成していく。
それはMLBについての何よりの勉強だ。
各球団の思惑や、MLBにおける選手評価の基準などを身をもって知ることができる。

セイバーメトリクスなどいろいろな数字が飛び交ってはいるが、打者はOPS、投手はERAが悪ければ、評価は決定的に下がる。

そういう選手はNRI(キャンプ招待選手)になるのが関の山。Released(放出)、RfA(戦力外)、FA(自由契約)など、MLBから締め出されることも多い。また首がつながってもマイナー契約に甘んじることも多い。
複数年契約の選手を除き、非常に厳しい世界であることが分かる。

さて、遅ればせながらMLBのプレビュー。

痛感するのは「昨年が曲がり角」だったということ。
これまで別次元の補強を行ってきたニューヨーク・ヤンキースが、嵩んだ大型の複数年契約の影響もあって、選手の「大人買い」をやめた。
これによってアリーグ東地区のパワーバランスが変わり、この影響がアリーグ、そしてMLB全体に波及して、MLB全体のレジームが変化したのだ。

端的に言えばスタインブレナー親父が逝去したことで、息子たちはヤンキースを普通のチームにしようとしている。そのことが、各球団の価値観にも影響を及ぼしているのだ。

これにかわって、適材適所を適正価格で行おうとする球団が浮上している。その筆頭がオークランド・アスレチックスであり、セントルイス・カーディナルス、タンパベイ・レイズなどもその流れだ。
中にはボルチモア・オリオールズのようにバランスの悪いチームもある。また、シアトル・マリナーズのように大きな買い物をするチームもあるが、MLBの各球団は、質実剛健になりつつある。
よりGMを筆頭とするフロントの手腕が問われるようになりつつある。

これが今年の印象だ。

今季の各球団のプレビュー この情報は4/10-4/20の間に作成した。すでに動いているものもあるが、かなり新しいと思う。

参考にしていただきたい。

■ナショナルリーグ

安物チーム、マイアミ・マーリンズ

再起の兆しはなし、フィラデルフィア・フィリーズ

補強か?穴埋めか?ニューヨーク・メッツ

もう弱小ではないが…ワシントン・ナショナルズ

スランプ組の復活が決め手 アトランタ・ブレーブス

投手が信頼できない コロラド・ロッキーズ

打線のつながりに期待 サンフランシスコ・ジャイアンツ

現状維持、進歩なし サンディエゴ・パドレス

勢いに期待 アリゾナ・ダイアモンドバックス

投打ともに充実 ロサンゼルス・ドジャース

何がやりたいのかわからない シカゴ・カブス

上向き ミルウォーキー・ブリュワーズ

堅実で前向きな陣容 シンシナティ・レッズ

勢いはある ピッツバーグ・パイレーツ

一頭抜けている セントルイス・カーディナルス


■アメリカンリーグ

どん底にほのかな光も ヒューストン・アストロズ

戦力アップが白星につながるか シアトル・マリナ―ズ

大物が額面通りに働くか ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム

補強が補強になるか? テキサス・レンジャーズ

「新マネーボール」が完成の域に オークランド・アスレチックス

寂しい陣容 シカゴ・ホワイトソックス

チームは今年も補強されず ミネソタ・ツインズ

戦える陣容 カンザスシティ・ロイヤルズ

投手、野手ともに二流 クリーブランド・インディアンス

中地区では断トツ デトロイト・タイガース

穴的な存在 トロント・ブルージェイズ

今や普通のチーム ニューヨーク・ヤンキース

打線だけならタイガースを凌駕 ボルチモア・オリオールズ

帳尻を合わせてきそう タンパベイ・レイズ

先発の踏ん張りが課題 ボストン・レッドソックス


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