コメントのやり取りでも少し書いたが、今回のキューバとの提携話は、何か裏がありそうである。
衆目の一致するところ、フレデリク・セぺダ(松坂世代である)は、上り調子とは言えない。これはキューバと巨人の提携話の、先鞭に過ぎないと思われる。
つまり、巨人にしてみれば、これから有望な選手がどんどんやってきますよ、と言うことに期待をかけているのである。

一方で、今年は4人ものキューバ出身選手がやってきた。これまでもキューバ国籍だった選手はいなかったわけではないが、これだけ大量にやってくるのも珍しい。
このことと、巨人、キューバの提携には、何らかの関係があるかもしれない。

MLBに目を転じれば、アメリカの球界がキューバを見る目はずいぶん変わっているように思える。

我々日本のファンにとって、キューバ選手の移籍で耳新しいのは、ホセ・コントレラスだろう。
2003年、松井秀喜と同時にニューヨーク・ヤンキースに移籍。31歳だった。
キューバ国内リーグで117勝、96年アトランタ五輪の金メダリスト。
この時点でキューバでは既に伝説的な選手であり、ヤンキースは他球団との激しい争奪戦の果てに獲得した。
しかしコントレラスは、松井が地味だが堅実な成績を上げて主軸打者としてチームに溶け込んだのとは対照的に、期待を裏切った。
1年目は故障もあって7勝、2年目途中にはホワイトソックスにトレードされる。4年3200万ドルの契約も引き継がれた。
以後、コントレラスは先発投手としてそれなりの活躍はしたが、通算では78勝67敗ERA4.57で終わる。昨年末にパイレーツをFAになり、今年は所属なし。42歳。

コントレラスあたりを最後の例として、MLBはキューバの大物を獲得しなくなったように思われる。
どちらかと言えば、ブレーク寸前までの若手か、目が出る前のプロスペクトを獲得し始めた。

今年のMLBのキューバ選手

Cuba-01


Cuba-02


MLBサイドは、キューバ出身選手は「投手ではなく野手」そして「ベテラン、大御所ではなく二十代」という方針で選手を獲得しているように思われる。
もちろん、アロリディス・チャプマンのような例外はあるが。

今年ホワイトソックスからデビューしたホセ・アブレイユも27歳。キューバでは11年のキャリアだが、ここ3年ほどで売り出した。このあたりが上限だろう。

Cuba-03


これはNPBに対して「野手ではなく投手」、「NPBで一定以上の実績のある選手」を重要視しているのと対照的だ。

つまり、MLBは、国ごとの野球のスタイル、実力を勘案して選手を選び出したということだろう。マーケティングが進化したのだ。

WBCでの敗退でもわかるように、キューバ野球はひところのレベルを維持していない。
キューバ国内リーグの首位打者は4割を軽く超え、極端な打高投低が進んでいる。
これは投手が進化していないことを意味しているが、そうであれば打者の進化も止まっている可能性が高い。
MLBはこうした事情も把握しているのではないか。
その上で、NPB選手同様「いいとこどり」をしだしたのだと思う。

社会主義国キューバは、今、様々なジャンルで鎖国を解こうとしている。カストロ議長が引退して体制が変化しつつあるのだ。
その流れで、野球選手も外貨を稼いでくれるのなら、外へ出しても良いという方向に動いている。巨人との提携話はその一環だろう。

また、MLBやマイナーへ行くために亡命した選手のNPB入りは、彼らが近い将来キューバへ復帰することを踏まえているのではないか。亡命先、アメリカからのダイレクトの帰参はキューバにとっては、面子にかかわる。しかし日本をバッファにすればOKということではないか。

キューバは今後、巨人に対し選手の売り込みをかけてくるだろう。とはいっても外国人枠があるから巨人はそんなにたくさん獲得することはできない。結果的に巨人を経由してキューバ選手が他球団に流れるのではないか(巨人が外国人枠の撤廃や拡大を主張しだす可能性はあると思うが)。
これは野球史に残る動きになるかもしれない。

ただし、残念ながら、これからキューバからやってくるのは、プロスペクトではないはずだ。そういう有望株は、MLBが大枚をはたいてかっさらう。今までどおり第三国亡命と言うトランジットを経て入団することだろう。
で、セぺダ同様、日本にはトウの立ったおっさん選手がやってくることになるのではないか。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!


プロ野球解説は漫才?

好評発売中。アマゾンでも!





クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。 高木守道本塁打大全

Classic Stats



『「記憶」より「記録」に残る男 長嶋茂雄 』上梓しました。






広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。