4月が終わった。2014年シーズン最初の月はまたぞろ「統一球」問題で揺れた。
一部のメディアや関係者が「今年の球は飛ぶ」と言い出したのが契機だった。
NPBは、反発係数の数値を公開すると発表。

ふたを開けてみたら、ボールの反発係数の平均値が、アグリーメントによって定められた範囲を超えていた。
つまりアグリーメント違反が発覚。

ここでNPB側はミズノに説明を要求。

ミズノは、上海工場で作っていた統一球の主材料の一つである「ウール糸」が乾燥しすぎて軽くなってしまったために、従来の量を芯に巻きつけるだけでは規定の重量より軽くなってしまうために、1m余分にウール糸を巻きつけた。
このために一分の統一球は、従来より硬さが増し、反発係数が規定値を超えてしまったのだ。
「硬い球は反発係数が高いことがわかった」
という発表には驚いた。

NPB側は当面、アグリーメント違反の球も使い続けるとした。ミズノは4月22日出荷分からは「従来のボールの中で反発係数が規定値内に収まったボール」を出荷。
29日からは品質を見直した球を出荷するという。

メディアや関係者の間では、「球が飛ぶ」と言う声が大きいが、データ的にはどうか。
セパ両リーグの2010年~13年と2014年の各週の打率(AVG)、1試合当たりの本塁打数(HR/G)を表にした。

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セリーグは打率は上下しているが、HR/Gは相変わらず高いレベルだ。統一球導入前の2010年と同じレベルにある。
反発係数が2010年並みに跳ね上がったというミズノ側の発表と平仄が合っている。

しかしながらパリーグは、HR/Gの数値が少し高い週があるものの、2014年度トータルでは、はっきり「ボールが飛んでいる」と言い切ることができない結果になっている。
打率は2013年よりかなり低い。

シーズン開幕当初は、前年と投打のバランスが変わることもあり、「春の椿事」的な馬鹿当たりがよくみられる。こうした一時的な現象なのか、統一球の効果なのか、よくわからない。

球団関係者は口をそろえて「良く飛ぶ」と言っているが、それがデータにはっきり出ているとは言えない。

球場別のデータは明日出すが、特定の球場、球団のみ当たっているという傾向も見える。

29日に導入された「新新統一球」がどんな効果をもたらすかも、今後、慎重に見て行きたい。

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