阿波池田の町は、野球ブームで沸いている。この春、27年ぶりに池田高校が甲子園に出場したからだ。もっとも有名な蔦文也監督は今はない。また町名も池田町から三好市に代わっている。隔世の感がある。

公式サイトのデータ
町のど真ん中にダムがあるのは全国でも池田くらいではないか。
徳島インディゴソックスと高知ファイティングドッグスの公式戦が行われる三好市営球場はダム湖のほとりにある。
私はこの町に何度も来ているし、球場があるのも知っていたが、まさかこんなところでプロ野球が行われるとは思っても見なかった。

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背後に通路が取れなかったようで、バックネット裏が通路になっていて、その後ろに階段状の観客席が並んでいる。
両翼には小さな観客席があるのみ。
私が通った高校のグランドによく似ている。簡素な野球場だが、スタンドは人で埋まっている。

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子ども連れからお年寄りまで、町中総出で見物に来ている。池田高校の野球部員も大挙押しかけた。場内はすでに上気している。
受け付けはテント。トイレは選手も観客も共用。がちゃがちゃスパイクの音をさせて、見上げるような黒人選手がトイレに入ってくる。

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私はこれこそ「独立リーグ」のだいご味だと思った。観客と選手が近い。そしていつも高校生が野球をしているグランドで、高度なプレーを見ることができる。プロの迫力を体感できるのだ。
この試合は徳島県三好市が買い取っている。三好市長があいさつ。

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マウンドの当たりに黒い影がべったりと張り付いているのは、徳島自動車道が球場の上を走っているからだ。

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徳島の先発は大藤、高知は航大。どちらも速球は140㎞/hに届かない。軟投派の投手。

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2回に徳島が下位打線の連打で2点先取。しかし徳島のこうだいは制球が悪く、3回までに2死球。
そして4回には安打に遊撃、左翼の失策、死球が絡んで3失点、さらに満塁でフランス人の3番打者アンヴィが、右中間に弾丸ライナーで本塁打を叩き込んだ。7点が入った。
「何だ」という空気が広がり、観客席は一気に緩んでしまった。

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少年野球の子どもたちが、池田高校の野球部員たちにサインをせがみだした。色紙はインディゴソックスが販売したものだが、それに高校生がサインを書いている。
池田高校の野球部員であっても、独立リーグのレベルまで達する選手はわずかのはずだが、子どもたちには目の前の独立リーグよりも池田高校の野球部方が立派に見えるのだろう。

NPBでもMLBでも失策は日常的に起こる。凡プレーだってたくさん見られる。
それだけをとって独立リーグはレベルが低いと断じることはできないが、年に数回しか試合をしない地方球場でお粗末な野球を見せてしまうダメージは大きい。

トップリーグのプロであれば失策も凡プレーも「珍プレー」として許されるが、マイナーリーグの選手に「珍プレー」はない。単に「レベルが低い」と思われてしまう。
興行側もそのことを肝に銘じるべきではないだろうか。気の抜けたプレーをしていて地元の支援を得ることはできないだろう。

両軍合わせて3失策、5死球 。残塁も多く、だらだらと長い試合だったが、9-3で迎えた最終回、リリーフのビラセニョールが突如崩れて5失点。1点差まで迫った。

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スタンドは大いに盛り上がった。ほとんど試合を見ず、おしゃべりに興じていた女性までもが声援を送り始める。観客席に一体感ができた。
大歓声の中、最後は三振で終わったが、もっと引き締まった試合であったなら、この盛り上がりが3時間続いただろうに、と思った。

選手たちはNPBに行くことを夢見ているだろうが、独立リーグ自体はずっとこの地にとどまってファンを広げていかなければならない。お客さんに独立リーグの存在意義を浸透させなければならない。

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そういう意味で「試合のQC(クオリティ・コントロール)」が必要ではないかと思った。

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