「週刊ベースボール」が、プロ野球80周年企画として、球界202人の現役選手、監督・コーチに「史上最強打者は誰?」というアンケートをとった結果である。
1位は27票で内川、2位は25票でイチロー、3位は20票で王、4位落合博満18票、5位松井秀喜17票。

この結果を見て「へー、内川はイチローや王貞治より凄い打者なんだ」と思う人はいないだろう。
「史上最強打者」というアンケートに対して、まだ31歳の現役選手がトップに躍り出てしまうのは、納得性が低い。早速、内川にインタビューをしていたが、本人も当惑したのではないか。
「人気投票」なのか「実力評価」なのか、「歴史的評価」なのかわからない、気持ち悪い結果になっている。マーケッターなら「失敗調査だ」と言うだろう。
何のためにこんなアンケートを取ったのか、理解に苦しむ人が多いのではないか。

アンケートはマーケティングの重要な手法の一つだが「どういう結果がほしいのか」をしっかり設定しないと、意味のない数字を集めてしまうことになる。

ターゲットをきっちり定め、有効なサンプル数を設定し、設問設計をしっかりしなければ、こういうことになってしまうのだ。

まず、アンケート対象者がばらけすぎている。野村克也、福本豊から、ルーキーの又吉克樹らまで。「プロ野球選手」という以外に何の接点もない対象者にアンケートをしている。
そしてサンプル数が少なすぎる。わずか27票でトップ。現役選手が圧倒的に多いので、内川がトップになったのだ。
そして「史上最強打者は誰?」という設問が、あまりにも大雑把すぎる。
この設問には、「自分が見た史上最強打者」、「歴史的に見た最強打者」、「一緒にプレーした選手」などの多様な解釈がごっちゃになっている。各人は各々の解釈で答えているのだ。
「一番尊敬する人は?」という問いに、エジソンや坂本竜馬に交じって父、母がランキングされるのと同じようになっている。

まず、ターゲットを「現役選手」と「OB」に分けるべきだ。
サンプル数は現役選手は少なくとも300人、OBも200人はとるべきだろう。
できれば70年代、80年代、90年代各100人など、世代別にもデータが取れるようにする。

その上で、「一緒にプレーをした選手の中で一番すごい選手は誰か」と聞く。
結果はトータルでのランキング、世代別のランキングという形で発表する。

そうなれば、少しはまともな結果が出るのではないか。

「週刊ベースボール」では3月17日号で「史上最高のピッチャーはこの男!」という企画を行っている。同様に200人の現役、OBにアンケートをして
 【1位】ダルビッシュ有
 【2位】斉藤和巳
 【3位】野茂英雄
 【4位】田中将大
 【5位】江川 卓
という結果となっている。これも納得性が低かった。

アンケートはメディアが良くやる手法ではあるが、どんな「答え」がほしいのかをイメージせず、いいかげんな設定でアンケートをとっても、あまり意味がない。

例によって「いいじゃないか、どうせお遊びなんだから」というコメントがあると思うが、お遊びだからもっと真面目に、真剣にやってほしいと思うのだ。

この結果は「酒の肴」にはならない。

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