ここから数回、独立リーグの「経営、マネジメント」について取り上げたい。
意外な気もするが、四国アイランドリーグPlusの公式メディアは、讀賣新聞大阪本社である。
その讀賣新聞の四国版に、4月末から5月にかけて、IBLJ10周年の特集記事が連載された。
最終回に、四国アイランドリーグPlus鍵山誠代表のインタビューが載っている。
今後の独立リーグを占ううえで、大変示唆に富んだ記事だった。

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鍵山氏は徳島県を発祥地とする企業グループの総帥だが、IBLJには草創期から参画、経営面を中心に全面的なバックアップを行っている。

鍵山氏はまず10年を振り返って、1000人の選手がプレーし、30人以上(正確には38人)がプロに巣立ったことを成果として挙げたが、一方で未だにリーグが3000万円の赤字であることを問題とした。当初3億もの赤字だったものをここまで圧縮したのだが、トータルでは0勝1敗1分だと評価。

そして、今後のプランとしてIBLJの全試合をインターネットで中継配信するとした。これはファンをターゲットとしたコンテンツの提供というよりも、MLBやKBO、CPBLなど様々なプロリーグに対して、IBLJの選手をアピールする目的が大きいという。
独立リーグには「人財育成」という目的があるが、IBLJは、その市場をNPBだけでなく、世界だとしているのだ。

さらに選手のセカンドキャリアや、選手と地域の地元密着、地域貢献にも力を入れていくとした。関係者に話を聞いても「野球と地域貢献は50%50%」と言う声さえ聞こえる。
こうした地元密着が、地域の人々やスポンサーの信頼醸成に大きな役割を果たしている。

しかしIBLJの将来像は、いつまでも「独立リーグ」のままであることではない。
独立リーグはアマチュア球界からは「プロ」とみなされ、プロ球界からは「アマ」の扱いを受ける。10年やってきた実績を評価してもらい、プロ野球の傘下に入りたいとのことだ。
そのために、夏までに、これまでも提携関係にあったBCリーグと独立リーグの統一組織を作り上げるとのこと。
これは大きなニュースだと思う。

3月に私は鍵山氏から直接こうした話を伺った。経営支援は、実際には非常に大変だったのとこと。しかし10年の経験を経て、各球団の経営者は高いマネジメント手腕と経営感覚を持つに至っている。
NPBへのアプローチは10年間ずっと続けてきたという。変革を望まないNPBは、なかなか重い腰をあげないが、10年間の実績をもとに、独立リーグは組織の改革やペナントレースの変革など、思い切った手を打とうとしている。

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独立リーグは、経営者のレベルでいえばNPBを超えているように思える。弱小で、赤字を抱えた球団ではあるが、未来へのビジョンははるかにしっかりしている。
その動向に注目すべきだと思う。

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