長いので、一人で一本。読みごたえあり。
■届かにゃいさん

後の松坂や松井と違い、甲子園未経験組でありながら
ドラフトであれだけの重複指名になる・・・
私自身も含め正直野茂(読みもノシゲかと思ってました)という選手が
如何なる選手なのか詳しくは知らない人が殆どだったはずですが
「とにかく凄いらしいぞ。どこが引くんだろ?」
といったムード一色になっていたのを思い出します。

結果、前年パリーグを劇的な形で制した近鉄が
箱の中に最後まで残ってた1枚を引いて当てるわけですが
これは本当に、結果的に良かったと思います。
とにかく良くも悪くも「キャラ」が立った選手の集団でしたし、
吉井も言うようにメジャー大好きな選手も多く、またそういった
個性を許容する首脳陣や風土があったように見えました。
初年度年俸が1000万に決まった時も「あの」加藤哲が
「1試合も投げてない奴に1000万も払うのか」と噛みついたりしたのも
いかにも「近鉄」だなあと思ったものです。

当然、キャンプやオープン戦には近鉄にあるまじき報道陣が押し寄せ、
我々ファンは毎日のように野茂情報を享受できました。
しかし、なかなか芳しい情報が入ってきません。
紅白戦では真喜志にHRを打たれるなどというレアなものを
(大したことではないのですが個人的に強烈に覚えているので)
見せてくれたり、プロ初登板では藤井寺球場の試合ながら
関東でも中継されるという異常事態の中、黄金期西武に粉砕される始末。
「もしかして壮大なハズレだったのでは・・・」
こんなムードが漂い始めた頃に挙げた初勝利が
皆様ご存知の、西宮での17奪三振ショーでした。

よく清原が、本当に言ったのかどうか怪しいですが
「直球で勝負せんか!」などと言ったことを批判されたことが
ありましたが、清原の絶頂期に相対した当時のパのエースの
ピッチングスタイルを見ればそれも理解できなくはありません。
西崎、伊良部、村田らは決め球と直球に絶対の自信を持った
猛者が揃っていましたし、打者もセに比べてバットを短く持つ
選手は少なかった印象があります。
そんな中で野茂は間違いなく「パリーグ人間」でした。

現役末期の門田が「絶対に野茂のフォークを打つ」と宣言し、
野茂が投げる直前にボックス内を1歩前に進んで
実際にHRを打ったことがありましたが、そんなちょっと
インチキくさい事をさせるほど、あの門田を本気にさせたという点で
「とんでもない投手が出現した」と思わせるに十分でした。
投打は逆ですが、山田が清原に異常な闘志を燃やしていたのと
共通した点があると思われます。
門田の最後の試合となった試合は平和台球場の最後の試合
でもありましたが、ここでも野茂は1-0で負けはしたものの
大打者の最後を飾るに相応しい投げっぷりでした。
門田も最後に野茂と対戦できて嬉しかったと、取材で語っていました。

個人的な偏見ですが、大阪ドームに移ったあたり、いや、鈴木が
監督になった辺りで「近鉄らしさ」が大分薄れてしまっていたように思えます。
パ全体でも、かつての本当に人気が無かった時代の選手と、
西崎阿波野のような「新人類」が混在した時期でした。
その時代の末期に現れた大輪の花が野茂だったように感じます。

その当時、少年野球を指導した選手(確か潮崎だったか)が
「驚いたよ。子どもがみんなトルネードをしたがるんだ」
と言っていたのをよく覚えています。
フーさん様が書かれたのと同じですね。
今、こんな選手がいるとは思えません。

360モンキーズにやってもらわなくてもフォームだけで
誰だか分かる選手が今後出る可能性はあるのでしょうか(笑)

0616


みなさんの「野茂英雄」「他の選手」への思い、コメントにお寄せください。数がまとまったら記事にします



新人やのに 野茂英雄

好評発売中。アマゾンでも!





クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。 広田順本塁打大全

Classic Stats



『「記憶」より「記録」に残る男 長嶋茂雄 』上梓しました。






広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。