少し旧聞になったが、5月に高知ファイティングドッグスの武政重和代表にお話を伺った。四万十球場の記者室。がっちりとした体躯。精悍な表情。興味深い話だった。
takemasa02


高知と言えば、一番注目されるのが、外国人選手の多さだ。
四国アイランドリーグPlusには、外国人枠はない。それにしてもなぜ、こんなに多くの外国人選手を抱えるのか?
「一番大きいのは、高知がこのところ負けが込んだことですね。それにお客さんも呼べない。この状況を打開するには、戦力を充実させなければならない。魅力ある試合をしてお客さんを呼ばなければならない。これが大きかったんです」
取材の時点で、外国人は6か国10人。
「まだ技術的にレベルに達していない選手も中にはいますが、多くの選手のパワーとスピードはやはり素晴らしい。日本人選手にも刺激になっています」
選手の獲得のルートは1つだけではない。
ウィンターリーグ、国内、国外のトライアウト、広島カープからの派遣、代理人からの紹介もある。
「選手の実力と、人柄をきちんと見て、獲得しています。来たばかりの選手は、日本の環境に慣れるのに時間がかかりますが、みんな単身でチャレンジしているわけですから、相当な決心です。勇気があるなと思いますね。本当にまじめです。できれば、全員NPBに行ってほしいですね」

四国アイランドリーグPlusは、世界市場に選手を売り込もうとしているが?
「もちろん、MLBやKBO、CPBLなどもターゲットにしてほしいですが、やはり日本の野球のスタイルを学んでほしい」

takemasakajita


高知には唯一、2005年の球団創設時からプレーをしている梶田宙という外野手がいる。

「彼はローカルスターですね。リーグ、地域への貢献は非常に大きいです。人間性を含めてチームをしっかりサポートしてくれています。彼がいることが、チームの利益になっています。
可能な限り、現役を続けてほしいと思いますね。独立リーグにいる選手はみんなNPBに行けるわけではありません。でも、彼のような選手には指導者になる道もあります。そういう意味でも、梶田は貴重な存在ですね」


武政代表は、高知の代表になって7年目。
「その頃、高知はオーナーがいなくなって、今の親会社(大阪のアクト不動産グループ)のオーナーが手を上げたんです。で、そのオーナーとは高校の同級生だった私が『代表やってくれないか』と言われ、いろいろありましたが引き受けました」
しかしサラリーマンだった武政代表にとっては、驚きの連続だった。
「『何それ?』ということの連続でした。会社は赤字。まずは経費を削減し、タダ券などの集客策も見直しました。そして県内の企業を回ってスポンサーを集めました。
スポンサーから小口の協賛金を集めたわけです。
例えば、この四万十市だけでも50社にスポンサードをいただいています。また今日の試合も四万十市に買い取っていただいています。そういう地道な営業活動を今も続けているわけです。
野球関係者だけでなく、高知の多くの方々の薫陶によって、今があります」


7年間で地元に密着し、球団としての信用もついてきた。

「独立リーグと言うビジネスは、大きな利益を出すことは難しい。でも大赤字になる可能性はある。野球の興行だけでは経営できませんから、地元とどう密着するかです。赤字を出さずに続けていって、いろいろな個性の選手を輩出させるのが目標です」
収入の内、スポンサー費は55%~60%程度、入場料収入とグッズ収入などが合わせて20%。
この比率は4球団ともに大きく変わりはない。
「あと2000万円」
と武政代表は言う。毎年営業活動を積み上げて、安定的に運営できるまであと2000万円のところまできたそうだ。ここからが難しい。
「高知の地元球団としてあり続けるためには、球団の存在意義、利用価値をきちんと説明できなければなりません。ブランド価値を高め、事業として確立することが大事ですね。これからも、いろんな活動を通じて理解してもらえるよう努力します」

takemasa01


0621


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!


あいつは言うこときかんかった 村山実

好評発売中。アマゾンでも!





クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。仰木彬、本塁打大全

Classic Stats



『「記憶」より「記録」に残る男 長嶋茂雄 』上梓しました。






広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。