私にとって記録の表を作るのは、単なる作業ではない。一つ一つ入力しながら試合運びや選手のパフォーマンスを追体験している。松坂の表を作り、岩隈の表を作ると、しみじみと両者の投球の「質」の差を感ぜざるを得ない。
野球史的に見れば、岩隈久志よりも1学年上の松坂大輔の方が重要人物だと思うが、今の両者の関係は完全に逆転している。昨日の岩隈は、MLB最強と言われるオークランド・アスレチックスを手玉に取った。中4日。

20140712


多くの日本人投手と同じように多彩な球種を操り、スプリッターを決め球にする岩隈だが、ダルビッシュや田中将大のときは通用した「待球作戦」は、利かないと断じているようだ。

岩隈はスプリッターだけが決め球ではない。速球やシンカーでも空振りが奪える。その上シンカーも含めて制球が素晴らしい。待っていても追い込まれて仕留められるだけだ。

この日はクリスプが休み、そしてジェイソ、ヴォワトと捕手登録の二人を1、2番に据えた。ノリスも含めた捕手3人衆は他球団がうらやむような好打者揃い。ともに長打力があり、ノリスは選球眼も素晴らしい。

このあたりにも並々ならぬ岩隈攻略への意気込みが感じられたが、すべて裏目に出た。

1回表、立ち上がりから岩隈はエンジン全開で3者連続三振。速球、シンカー、スライダーの組み合わせが素晴らしい。

2回表、1死からドナルドソンとロウリーに連打される。しかしのリスとソガードをスプリッターで三振。落ち着いている。
2回裏、アックリーのタイムリーで先制。

3回表、この回は打たせて取る投法で三者をエアアウト。食い込んでいる。

4回表、セスぺデスのゴロを遊撃ミラーが取り損なう。ここからが見事と言うしかない。あのしぶといオークランド打線を7人連続で2球以内で切って捨てるのである。4回表は5球、5回表は6球。完全にお手上げ。
ミラーは4回裏に審判に三振をコールされてバットで足を叩くなど不満げなそぶりを見せて退場処分となる。主審は例のボブ・デービッドソン。踏んだり蹴ったりだ。
5回裏、シーガーの2ランで2点追加。

6回表、二死からヴォワトに安打を打たれるがセスぺデスを退ける。

7回表、モスに7球粘られるが3者凡退。

8回表、ノリスに粘られるが3者凡退。
8回裏、真打ロビンソン・カノの3ランが出る。

そして完封がかかった9回表、ジェイソに安打で出塁されるが二死まで来て、モスに一発を浴びる。低かったがやや内側に入った。ここで交代。

昨年後半もそう思ったが、一番優秀な日本人投手は岩隈久志ではないかと思う。


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