近年中日を指揮した代表的な3人の監督の成績を並べてみた。
赤字は、順位の合計を年数で割ったものと、首位とのゲーム差の合計を年数で割ったもの。AVGはチーム打率とリーグ順位。ERAはチーム防御率とリーグ順位。







落合中日は、常に3位以内に入っており、首位とのゲーム差も非常に小さい。クライマックスシリーズができた2007年以降、巨人と並んで4シーズン連続で進出している(勝率は巨人.591、中日.546)。落合は中日史上もっとも成功した監督といってよいだろう。

落合中日は「投手力」を重視したチームである。チーム防御率のリーグ順位が常にチーム打率のリーグ順位よりも上で、トップクラスだったことにそれが表れている。
落合博満は不世出の大打者だったが、指揮官になるにあたって守りを重視したのだ。これは、川上哲治の巨人に通じる。大打者川上は、現役時代は取れるゴロも取らないで打撃に専念したと陰口をたたかれたが、監督になったとたん、守備と投手陣の整備を行った。巨人の場合、ONという偉大な打者が出現したが、常勝の基本が「守り」であったことは諸書に詳しい。落合と川上に共通するのは、「(自分のような)大打者がいない前提で、どうチームを勝利に導くか」という課題に取り組んだ点である。

落合博満は、方針をはっきりと決める監督だったように思う。絶対のクローザーとセットアッパーを決めたこともそうだが、攻撃陣には徹底的に四球を選ばせた。就任8年で、四球数リーグ1位は6回。打率よりも出塁率を重視した、NPB最初の監督ではないだろうか。恐らくはMLBの野球を十分に研究したものと思われる。

方針の徹底ぶりが度を過ぎて、世間のひんしゅくを買ったのが2007年の日本シリーズ第5戦、8回まで日本ハムをパーフェクトに抑えていた山井大介を降ろして、岩瀬仁紀をマウンドに起こったあの試合だ。落合にしてみれば目的は「勝つ」ことであり、そのための最善の策を取ったということだろう。

目的に対して直線的に手を打つ、落合采配は、次第に飽きられていたのだと思う。中日の1試合当たりの観客動員は、落合監督就任以降、2004年33,775、2005年31,728、2006年32,859、2007年33,720と横ばいだったが、2008年31,922、2009年30,460と下落し始め、ついに今季は29,576と大台を割ってしまった。落合一人の責任ではないだろうが、その戦法と、代わり映えのしない選手起用が飽きられたという面はあろう。

梨田監督のときにも述べたが、監督交代劇はどんなものであれ、後味が悪いものである。しかしながら、「リフレッシュ」といいながら70歳の高木守道を後任に据える人事は、フロントの「落合以外なら誰でもいい」という本音が透けて見えてことさら不快に思える。高木守道は監督としての手腕も落合よりも大きく劣っている。

もちろん、高木監督はつなぎであり、その次にはフレッシュな監督就任が前提なのだろうが、落合監督のためにも、ファンのためにも、もう少し明るいストーリーを提示することはできなかったのだろうか。たとえば高木監督の下に「助監督」として誰かを指名するとか、コーチ陣に候補生を複数指名して彼らを競わせるとか。そういう演出含みでの発表はできなかったのだろうか。

つなぎとはいえ、高木新体制は落合色を払しょくすることが求められよう。しかし、横浜のように崩壊状態のチームとは異なり、中日はほころびが見えるとはいえ「勝つ方程式」をすでに持っている。下手にいじると、成績が大きくダウンする可能性がある。高木守道には荷が重すぎるような気がしてならない。
高木新監督にどんな新しい武器を与えるのか。未来に向けてどんな先行投資をするのか。今後のフロントの体制作りに、来年以降の中日の命運はかかっているといえよう。


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