MLB日本人選手とのかかわりで、個人的に気になっている打者が二人いる。一人は、シェリー・ダンカン。松井秀喜がニューヨーク・ヤンキース=NYYにいた頃、彼の控えだった選手だ。





父も兄もメジャーリーガーという名門に生まれ、2001年にNYYからドラフト2順目で指名された。エリートだが、体が固そうで、不器用そうで、およそスマートな選手ではない。
ただ、時折狂ったように本塁打を量産する。2007年7月21日のMLBデビューの試合で1発、翌日は2発打って世間を驚かせた。このときの喜びようがすごかった。「ハリポタ」のロン・ウィーズリー役のルパート・グリントにちょっと似た素朴な風貌の巨漢で、腕も折れよとばかりにハイファイブをしたり、大きな体をチームメイトにぶつけたり。ダンカンが本塁打を打つと、ベンチでみんなが逃げ回っていた。いい奴だ、と思わせた。結局、デビューの年は34試合で7本塁打。7回大騒ぎをしたわけだ。

しかし、それからは2008年に1本塁打打っただけで鳴りをひそめ、2010年にはクリーブランド・インディアンス=CLEへ。ここでもレギュラーにはなっていない。今年8月からは福留孝介とチームメイトになった。

9月19日のシアトル・マリナーズ=SEA戦を見ていたら、左翼を守るダンカンのところへ、3本連続でフェンスいっぱいの大飛球が飛んで、これを好捕していた。相変わらず凄くうれしそうで、こちらまで嬉しくなった。「元気でやってるんだな」と思った。

もう一人はドミニカ出身のウィリー・モー・ペーニャ。






この選手もキャリアの始まりはNYMだが、すぐにシンシナティ・レッズ=CINへ。2004年には26本塁打を記録するが、2006年にボストン・レッドソックス=BOSへ。翌年、松坂大輔のチームメイトになる。この選手も守備がまずいのだが、松坂が投げる試合に限って失策をしたり、単打を二塁打にしたり、よくへまをしたのだ。熱くなる性格のようで、打席では振りまわしていたが、守備は緩慢で、やる気がなさそうだった。「あいつがいなければ、松坂はもっと勝てたはずだ」と思っていた。

相撲取りのような巨漢だが、次第に使われなくなり、昨年後半は独立リーグにいた。今年はアリゾナ・ダイヤモンドバックス=ARIにマイナー契約で入ったが7月に解雇され、SEAに。イチローのチームメイトになったのだ。今はDH。相変わらず振りまわしている。

ダンカンとペーニャ、この二人がMLBでレギュラーになれなかったのは、ともに右打者で、大きな体を持て余しているからだ。しかし、プロスペクトと呼ばれなくなっても生き残っているのは、ともに長打力があるからだ。本塁打が打てるというだけで、SEAやCLEなど打線が弱いアリーグのチームが食指を動かしてくる。
それだけ長距離打者は価値があるのだと思う。


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