1日に2試合観戦するのはそれほど珍しくないが、同一カードの2試合、つまりダブルヘッダーを見るのはおそらく昭和以来だと思う。
西宮球場や大阪球場でよくダブルヘッダーを見たものだ。1試合目は延長戦なし。ベテラン野手は1試合だけ。若手が出場機会を得たりする。
試合と試合の合間ののんびりした時間もなかなか良かった。グランドで選手がストレッチをしたり、スタジアムの外でファンと談笑したり。
ただ、ダブルヘッダーはチームにとっては嬉しくないものだ。観客の入れ替えはできないから2試合を1試合分の入場料で見せることになる。
スケジュールは過密になるし、選手への負担も大きくなる。
香川のダブルヘッダーは直前に決まった。とにかくこのチームは雨に泣いている。
後期開幕以後、7月4試合、8月3試合も雨で流している。
8月6日から5日間試合がなく、12日からダブルヘッダー1試合を含む7連戦。チーム編成上の窮余の策だったのだ。
半年で80試合を消化する四国アイランドリーグplusは、日程的にはNPBよりもかなりゆるやかだ。
選手の編成もその前提で行われている。今回の連戦は、常勝香川をもってしても対応しかねる事態だった。
1試合目、香川の先発は太田。ロングリリーフが多い。まだ1勝。
愛媛は元巨人、40歳の河原純一が投げる。
太田は制球が甘い上に球威がなく、立ち上がりに2失点。
河原は例によって130km/h台の遅い球ながらタイミングを外す熟練の投球で、安打を打たれながらも切り抜けていく。
香川は2回に23イニングスぶりの1点を挙げたが、河原を捉えることはできない。
7回表で1-3、香川は万事休すかと思われたが、河原が降板してから上がった投手陣に打線がくらいついて3-3に追いついた。
とはいってもバットが振るったわけではない。四球を足がかりに足で得点したものだ。
同点に追いつくのが精いっぱい。第1試合は引き分けに終わった。
第2試合、香川はクローザーの篠原慎平を先発させた。登板機会があいているからだが、まさに緊急事態。
香川、西田真二監督の采配は一言で言えば「シビア」。失策をしたり不振が目立てば、主力選手でもどんどん先発から外す。
これで4試合を見ているが、打線はめまぐるしく変化している。
しかし、ここまで打線が振るわないと「正解」が見えなくなってくる。
愛媛の先発は辻空。広島の育成選手であり、愛媛に派遣されている。この投手も救援登板が多いが、三振と四球がほぼ同数。荒れ球だ。
香川、篠原、愛媛、辻は5回まで無失点。内容は篠原の方がはるかに上だった。許した安打は1安打。辻は4安打に加え2四球1死球。
しかし篠原は6回1死、二塁打を打たれたところで足が攣って投げられなくなる。
ここで香川は急きょ田村を上げる。
田村はここ3日、4試合にすべて登板。好投していたからだが、投手の台所事情はここまでひっ迫している。さすがに疲労があったか失点。
ここで寺田、彼は先発投手だ。
寺田のあとには、酒井大介がマウンドへ。何と彼は翌日の先発投手だ。
投手がいないわけではない。しかし負けるわけにはいかない。投げる投手は限られてくる。香川、西田監督の苦悩が見て取れる。
香川打線は不振が続いていた主軸の中本に当たりが出始めたが本塁は遠い。
0-1の敗戦。
得点機は何度もあったが、拙攻も続いた。
風のないおもくるしい夜の試合。
香川、近藤GMの顔も曇りがちだ。この連戦でシーズンが終わってしまいかねない。
別にどちらを応援するわけでもないが、明日は何とか香川に勝ってほしいと思った。
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