“打線”という生き物が復活するのを目の前で見た。
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ソフトバンク3軍は、四国アイランドリーグplusの“見えざる第5のチーム”である。
四国各球団とソフトバンク3軍との試合は「交流戦」とされるが、勝敗や選手の成績は、公式記録になる。
しかしソフトバンクはペナントレースに参加せず、個人成績も記録されない。
ただし、ソフトバンクとの対戦成績は「ソフトバンク杯」と言う形で、前後期通算で別途計算もされ、最も対戦成績の良かった球団が表彰される。
交流戦は、4球団総当たりのリーグ戦に複雑な要素を加えている。なかなかの妙手だ。

ソフトバンク3軍自体の実力は、四国と拮抗しているが、ここに調整目的で1軍クラスの選手が加わることがある。今は1軍で活躍している大隣憲司が、四国相手に格の違いを見せつけたりした。
そういうこともあって、前期はソフトバンク3軍が11勝3敗と圧勝した。
実力的には四国最強と言って良い。連敗が続く香川にとっては、難敵だと思えた。

ソフトバンクの先発は大場翔太。29歳、背番号も29、ドラ1、1軍で通算15勝している。今季は1軍で2試合しか投げていないが、歴とした1軍投手。

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香川の先発は寺田哲也。今季から四国に加入。昨年、BCリーグでノーヒットノーランを記録した本格派。27歳。

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1回表、寺田がいきなり捉まる。
ソフトバンクの1番上林が二塁打、2番細山田が左前タイムリー、あっという間に1点が入る。
しかし寺田はここから目が覚めたように後続を断った。

1回裏、1番大原が大場翔太の速球を左前に弾き返す。この6連戦、無死から走者が出たのは7度しかなかった。打者は委縮しているように思えた。それだけに大原の一打は大きい。
果たして2番生田目が歩いた。3番中本は三振したが、4番中川の左翼ライナーをソフトバンク左翼笹沼が目測を誤って二塁打にする。2点が入る。
そしてこの回、5点が入った。

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大場は制球が定まらなかった。捕手細山田も打つ手がないという感じだったが、その間隙を突いた香川打線は昨日とは別人の趣だった。

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2回以降、寺田はソフトバンク打線を全く寄せ付けず、7回を1失点で切り抜ける。併殺が3つ。ソフトバンクの拙攻も目立った。

香川は5回に大場の暴投で1点追加。

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さらに7回には、3番手の鈴木駿也から1番大原がバックスクリーンに飛び込む推定125mの一発。
スタンドは湧きに湧いた。

私は香川のファンでもなんでもないが、6試合連続で主催ゲームを観戦し、一生懸命に試合を盛り上げようとする近藤GMと連日話をするうちに、香川オリーブガイナーズに感情移入するようになった。

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それだけに昨日の勝利には快哉を叫びたくなった。チームの「1勝」に喜ぶ野球ファンの気持ちを久々に感じた。
野球はいいものだと思った。

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