斎藤佑樹が3塁側ベンチ前に姿を現すと、前のスタンドにわらわらと人が寄るのである。「自分の席に戻ってください」という警備員の声もむなしく、どんどん人は集まる。






ノックが終わってグランドにダルビッシュ有がちらっと顔を見せると、また人が集まる。中田翔、首位打者の糸井、陽 岱鋼、日本ハムはスター集団になった。「小谷野さーん」なんて声さえ上がる。張本勲が抜けて、富田勝、千藤三樹男、上垣内誠なんて顔ぶれで戦っていた日ハムを知るおやじからすると、今昔の感がある。昨日の京セラドーム大阪も三塁側から埋まったように思う。台風にもかかわらず25,000人の入りだった。
試合前、斎藤は、鶴岡のミットにいい音を立ててボールを投げ込んでいた。調子は悪くないように見えた。



この日は、寺原隼人にも注目していた。今年前半、小気味良い投球を見ていた。この投手も横浜からオリックスに移って蘇生した一人だ。故障明けだが、どのような投球をするか、注目していた。しかし1回、真ん中に球が集まるところを連打され2失点。



2点の援護をもらった斎藤だが、ボール球は多いものの1回は遊撃今浪が安打性の当たりを二つもぎ取って0点。2回はスンヨプが思い切りしばいた当りがセンターオーバーの二塁打になったがここも抑えた。

しかし3回、先頭由田慎太郎に安打が出ておかしくなった。エラーと野選のあと、T-岡田がゴルフのように掬いあげて2塁打。3失点。

気になったのは走者が出た時の斎藤の投球感覚の長さ。グラブに球を隠したままなかなか投げない。しかも牽制球が多い。寺原は走者が出ても偽投する程度なのだが、斎藤は塁に投げる。この回は二塁にも牽制球を投げた。盗塁を気にしてというよりは、本塁に投げたくないという感じだ。測ってみると20秒以上球を持っていることもある。寺原は12秒程度だからずいぶん長い。これでは、野手がじりじりしてしまう。内野の乱れは、野手がリズムを失ったことも大きいのではないか。

斎藤は、高校でも大学でも推しも推されもせぬエースだった。自分の間合いで投げるのが当たり前で、野手への配慮をあまりしてこなかったのではないか。それに加えて、失敗を恐れ、慎重になりすぎることが、野手との一体感を失わせていると思う。

寺原は失点してから立ち直り、味方が逆転するとリズム感が出てきた。どんどんストライクを投げ込む。フォームにも躍動感がある。バックもそれに呼応して動きが良くなっていた。

斎藤は以後も毎回安打を打たれ、走者を背負って投げたが、何とか抑えた。この日は1人の打者に最高で6球しか投げなかった。勝ち味は早くなっている。

しかし7回、先頭の坂口に強いあたりの内野安打を打たれ、大引に送られたところで、吉井コーチがマウンドへ。
「今日はここまでやな、ほな、また。」という感じでボールを取られた。斎藤はぐっぐっと首を2度強く振って、ベンチへ戻っていった。スタンドの大歓声には応えなかった。日本を代表する好青年という感がある斎藤佑樹だが、本当は自意識、自己顕示欲が強いタイプではないのか。そうでなければ、好投手にはなれないが、同時にその意識をコントロールしなければ、一人相撲が多くなる。




センター糸井の超美技もあり、注目していたスケールズの動きも良かったし、中田翔がノーステップをやめてクローズドになって安打を打ったのも見た。スンヨプもいい当たりを飛ばした。台風の中、堪能できた。







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