このところ、話題がほとんどなかったダルビッシュが久々に世間を賑わわせている。女性との交際を明らかにしたのだ。
レスリング元世界王者の山本聖子と交際しているとオープンにした。6歳年上、プロ野球は本当に姉さん女房が多い。
はて、山本聖子はハンドボールの永島英明と結婚していたはずだが、と思った。実は以前、永島のお母さんと仕事上で付き合いがあって「うちの息子、今度結婚するねん」と聞いた覚えがあったのだ。
山本は9月に永島と離婚していた。
で、ダルビッシュとの交際宣言。ダルはtwitterでも伝えた。
ダルビッシュは、マスコミとの付き合い方に一家言があるようだ。



多くの有名選手は、マスコミとの付き合いを最低限にしようとする。自らが情報発信することは滅多にない。
中には上原浩治のようにtwitterで頻繁に発信する選手もいるが、それはあくまでファンに向けた近況報告であり、社会に対してコメントをすることはない。

しかしダルビッシュはtwitterで積極的に自らの意見を発している。
昨年、張本勲が、川崎宗則について例の番組で
「(打率)2割2分くらいだったら野球選手じゃないよ」
「ホームランはまぐれなんじゃないかな」
「野球選手として見てないんじゃないの? マスコットボーイみたいに」
と酷評すると、
「いやかなりチームに必要とされてますよ! てかあのコーナーは何のためにあるのかな?」
と厳しいリターン。
さらにファンが
「年寄りが自分たちは凄かったって自慢するためのコーナーだと思います」
と返すと
「メジャーのOBでそういう人たちいないなぁ」
と批判した。

今年、田中将大がひじを故障して投げられなくなったときも
ダルビッシュは
「(中4日は)絶対短過ぎる(中略)中6日あれば絶対靭帯の炎症とか全部クリーンにとれる」と発言。
最近ひじの故障がMLBで多発しているのは、登板間隔に起因すると指摘した。

ダルビッシュは自身がMLBでも屈指の投手であり、その注目度が日米で非常に高いことをはっきり意識している。
つまり、自らの発言がどのような波紋を起すかも知って発言をしている。

日本のスポーツ界は年功序列、長幼の序を重んじる傾向が今も強いが、ダルビッシュはそうした文化も知ったうえで、敢えて直言をしている。

それは、スポーツ界が旧弊な因習から脱却すべきだ、とダルが思っているからかもしれない。
イラン人と日本人のハーフと言う彼の出自、アウトローと見られることもあった彼の生い立ちが、そうした“反逆”精神を育てたのかもしれない。

彼は自らのプライベートにかかわることでも包み隠そうとはしない。
一度目の結婚のときは、スタジアムでのヒーローインタビューの席上で「俳優の紗栄子さんと付き合っています」と明言した。
その後、別居、離婚に際しても彼は逃げ隠れしなかった。
そして、今度の交際についても、ダルは自ら口にした。

ファンがtwitterで

「彼女別れたばかりですよね! お付き合いするのが早すぎませんか?」
「離婚の原因は彼女の不倫ということですか? もう少し子供のことや世間のこと考えたら」

と返すとダルは

「期間は関係ありますか?子供とも仲良いですし世間は関係ないです。
価値観の押し付けは良くないと思います。」

と正面から切り返した。

この手の良識派を装った醜悪な人間は世間にたくさんいる。匿名性をよいことに、他人のプライベートにずかずか入ってくる。こういう輩は相手にしなくても良いはずだが、ダルは積極的に反論しているのだ。

こうした対応から見えてくるのは、ダルビッシュはマスコミや世間から
「逃げたくない」と思っていることだ。

その並外れた肉体と、日本人離れした容姿で、ダルは子どもの頃から世間の遠慮のない視線を浴びて育ってきたはずだ。
好奇心に満ちた、ときには悪意むき出しの他人のまなざしをあび、それを跳ね返して生きてきた。
ダルビッシュは、こうした世間の目は、逃げれば逃げるほど追いかけてくることを知っている。
たとえプライバシーにかかわることでも、しっかり反応して、跳ね返す方が良いと思っているのだろう。

ダルビッシュのことを頼もしく思うのはこういう部分だ。
人気商売であるにしても、言いたいことは包み隠さない。逃げ隠れしない。
自分や仲間のためにはっきりものを言う。日本社会の陰湿な圧力にも負けない。プライバシーを堂々と明かすのも、そういうダルビッシュの高い姿勢の表れだと思う。

ダルビッシュは日本球界のオピニオンリーダーとして、今後、マウンドを降りても大きな存在であり続けるだろう。
彼のリーダーシップに期待したい。


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