斎藤佑樹ウォッチはもういいかな、と思っていた。毎度毎度締りのない投球だし、ベンチは過保護だし。魅力が感じられなかったからだ。しかしこの日の5回以降は斎藤とはこんな投手だ、と思わせるものがあった。おまけに最後にプロの洗礼も受けて、久々に印象的なマウンドだった。





立ち上がり、例によってピリッとしなかった。1死後、原拓也、中島裕之に連打。ここは中村剛也を併殺に打ち取ったが、2回、浅村栄斗には何と11球。斎藤はとにかくファウルで粘られることが多い。決め球がないのだ。この調子でだらだら行くのだろうと思った。

しかしここから斎藤は、遅い速球を果敢に使うようになる。試合前、吉井理人投手コーチから「変化球は低めに、速球は思い切って」と言われていたようだが、右打者の内側に小さく変化する2シームが決まるようになる。これに加えてフォークも有効だった。

見方が初回に4点を取ったこともあって、安打は打たれるし、いい当りの飛球もあったが(糸井が2度ファインプレー)、テンポよく7回まで投げることができた。

この時点で102球。「どや、もう一回いけるか?」みたいな会話が、吉井コーチとの間であったようで、斎藤は8回もマウンドに立った。

しかし、この回は明らかに力みがあった。栗山巧をあっさり見逃し三振に打ち取ったものの、原はコースが甘いカーブを、打ち気満々の中島は内に入った速球を打って連続安打。そして中村剛也は、初球ど真ん中に山なりで入ったカットボールをバットの芯にしっかり当ててスタンドへ。これは素晴らしい見ものだった。プロとはこういうものだと思った。

ベンチに引きさがった斎藤は、かすかに笑みが浮かんでいた。「勝負をした」という実感があったのではないか。5勝目を挙げたことよりも、プロに横っ面を張り飛ばされたことの方が、心地よかったのではないか。

昨日18奪三振で完封した田中将大とは、実力的に大きな差があるが、斎藤佑樹なりにプロのドラマを演じることができたことが大きい。


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