日本復帰が確実と言われながら、中島裕之の去就はなかなか決まらない。そもそも彼はまだアメリカにいるようだ(追記:昨日密かに帰国)。
中島裕之は、NPBではトップクラスの選手であり、人気もあるスター選手だった。
そういう選手でも野手の場合、うまくいかないことの方が多いが、それでも、他の選手はMLBの試合に出場することはできた。
中島の場合、MLBの試合はスプリングトレーニングだけ。それも2年でわずか23試合だけ。とうとう公式戦にはでることがなかった。
2年目はマイナー契約に落とされたが、辛うじてスプリングキャンプに呼ばれた。6打数2安打だったが、有無を言わさずマイナーに戻された。
で、マイナーの成績。
屈辱的なことに今季はマイナー最上位のAAAからAAへの降格も経験した。
NPBで築き上げたプライドはズタズタになったことだろう。
なぜここまでひどい仕打ちを受けるのか。
一つは、スプリングキャンプで左太ももを負傷したこと。
最近思うのだが、MLBは「運が悪い選手」が嫌いだ。
トミー・ジョン手術など自球団の「資産」に対する投資としての治療は行うが、一定の治療期間を経て、復帰できなければ容赦なく落としたり放出したりする。
日本のように運悪く怪我をした選手、故障した選手に対して温情をかけたり、特別扱いしたりはしない。
NPBの選手は環境変化に弱いのか、移籍後すぐに怪我をすることが多い。
もう一つは守備。腰高で不安定なフィールディング、守備範囲も狭い。MLBに来てすぐに「遊撃失格」の烙印を押された。
野手の価値は「オフェンス」と「デフェンス」の掛け算で決まる。重要度が高い遊撃ではなく、三塁や二塁だとすると、オフェンス面でより高い能力が求められる。
しかし「日本人選手20%パワーダウン(私が勝手に言っているが)」の法則によって中島は長打も出塁も少ない平凡な打者になっている。これでは「補助戦力」でしかない。
金に厳しいビリー・ビーンは自らの投資が「失敗」だったことをすぐに悟ったことだろう。
腹が立つと5人、10人と選手をクビにするような激しい気質のGMである。
中島への厳しい態度は、当然だったと言えよう。
「大失敗だった。大金を積めばいい選手が獲れるという考えは、やはり浅はかだったということが図らずも証明された」
という言葉にすべてが象徴されている。ビーンは、失敗した買い物を「もったいないから」と使うようなせこさは持ち合わせない。あっさりとごみ箱に捨てたのだろう。
さらに言えば、コミュニケーション能力においても中島は劣っていたと思われる。自らの境遇が不当だと思えば、強く抗議するなりアピールするなりすべきだったが、中島は日本流に「AAAで頑張っていれば、そのうち声がかかる」と言う感じだったのではないか。
日本記者のインタビューに「楽しんでいる」的なニュアンスで答えていたのもマイナスではなかったかと思う。
日米の野球、そして文化の陥穽に嵌って中島は敗退した。かつてない惨敗だった。
彼には「どのつら下げて」という気持ちがあるのだろう。自分の実力はこんなはずではない。たとえマイナー契約からでもMLBに再チャレンジしたい。
そういう思いが、彼をしてNPB復帰をためらわせているのだろう。
中島の代理人は今年オフになってスコット・ボラスになった。ボラスは阪神の4年10億円超のオファーに対し、積み上げを要求したと言う。
ボラスならではの商法ではあるが、その裏には中島の「MLBで再チャレンジしたい」という強い意向が働いていると思われる。
中島のような成績に終わった選手がMLBでリベンジできる可能性は極めて低いと思われるが、今後の成り行きに注目したい。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
↓
クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。
1973年佐伯和司、全登板成績
広尾晃、3冊目の本が出ました。
そういう選手でも野手の場合、うまくいかないことの方が多いが、それでも、他の選手はMLBの試合に出場することはできた。
中島の場合、MLBの試合はスプリングトレーニングだけ。それも2年でわずか23試合だけ。とうとう公式戦にはでることがなかった。
2年目はマイナー契約に落とされたが、辛うじてスプリングキャンプに呼ばれた。6打数2安打だったが、有無を言わさずマイナーに戻された。
で、マイナーの成績。
屈辱的なことに今季はマイナー最上位のAAAからAAへの降格も経験した。
NPBで築き上げたプライドはズタズタになったことだろう。
なぜここまでひどい仕打ちを受けるのか。
一つは、スプリングキャンプで左太ももを負傷したこと。
最近思うのだが、MLBは「運が悪い選手」が嫌いだ。
トミー・ジョン手術など自球団の「資産」に対する投資としての治療は行うが、一定の治療期間を経て、復帰できなければ容赦なく落としたり放出したりする。
日本のように運悪く怪我をした選手、故障した選手に対して温情をかけたり、特別扱いしたりはしない。
NPBの選手は環境変化に弱いのか、移籍後すぐに怪我をすることが多い。
もう一つは守備。腰高で不安定なフィールディング、守備範囲も狭い。MLBに来てすぐに「遊撃失格」の烙印を押された。
野手の価値は「オフェンス」と「デフェンス」の掛け算で決まる。重要度が高い遊撃ではなく、三塁や二塁だとすると、オフェンス面でより高い能力が求められる。
しかし「日本人選手20%パワーダウン(私が勝手に言っているが)」の法則によって中島は長打も出塁も少ない平凡な打者になっている。これでは「補助戦力」でしかない。
金に厳しいビリー・ビーンは自らの投資が「失敗」だったことをすぐに悟ったことだろう。
腹が立つと5人、10人と選手をクビにするような激しい気質のGMである。
中島への厳しい態度は、当然だったと言えよう。
「大失敗だった。大金を積めばいい選手が獲れるという考えは、やはり浅はかだったということが図らずも証明された」
という言葉にすべてが象徴されている。ビーンは、失敗した買い物を「もったいないから」と使うようなせこさは持ち合わせない。あっさりとごみ箱に捨てたのだろう。
さらに言えば、コミュニケーション能力においても中島は劣っていたと思われる。自らの境遇が不当だと思えば、強く抗議するなりアピールするなりすべきだったが、中島は日本流に「AAAで頑張っていれば、そのうち声がかかる」と言う感じだったのではないか。
日本記者のインタビューに「楽しんでいる」的なニュアンスで答えていたのもマイナスではなかったかと思う。
日米の野球、そして文化の陥穽に嵌って中島は敗退した。かつてない惨敗だった。
彼には「どのつら下げて」という気持ちがあるのだろう。自分の実力はこんなはずではない。たとえマイナー契約からでもMLBに再チャレンジしたい。
そういう思いが、彼をしてNPB復帰をためらわせているのだろう。
中島の代理人は今年オフになってスコット・ボラスになった。ボラスは阪神の4年10億円超のオファーに対し、積み上げを要求したと言う。
ボラスならではの商法ではあるが、その裏には中島の「MLBで再チャレンジしたい」という強い意向が働いていると思われる。
中島のような成績に終わった選手がMLBでリベンジできる可能性は極めて低いと思われるが、今後の成り行きに注目したい。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
↓
クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。
1973年佐伯和司、全登板成績
広尾晃、3冊目の本が出ました。
3Aや2Aでこの程度しか打てない、守備も低レベルな選手を使おうとは誰も思わない。
しかし4年12億だとか言われてますが、馬鹿げてるにもほどがありますね。
アメリカへ行く前の年俸が2億8000万でしたからそれよりはるかに上がってますが、中島がアメリカでやったことといえばただ恥をかいただけ。
それでいったいなぜ以前よりずっと大きい契約が結べてしまうのか。
メジャーの落武者に群がるのは勘弁して欲しいものです。