巨人のコーチ人事を巡って記者会見を開き球団代表を解任された清武英利氏と親会社の読売新聞グループ本社が互いを訴えていた裁判で、東京地方裁判所は清武氏に160万円の支払いを命じた。
要するに清武氏の敗訴である。NHKより

巨人の球団代表だった清武氏は3年前、渡邉恒雄球団会長(当時)にコーチ人事を一方的に覆されたとして、記者会見を開いて批判。
これに対し、親会社の読売新聞グループ本社は、清武氏をすべての役職から解任したうえで「会社の名誉が毀損された」などとして1億円の賠償を求める裁判を起こした。清武氏も「不当な解任だ」に対し読売側に6000万円余りの賠償を求めていた。
大竹昭彦裁判長は「清武氏が取締役会などを経ずに記者会見を開いて会社の内情を公表したことは管理義務に違反しており、解任には正当な理由がある。会見で巨人軍のコーチ人事がとん挫したうえ、読売側の社会的評価も低下した」と判断して、清武氏に160万円の支払いを命じた。一方、清武氏の訴えは認めなかった。

清武氏は「読売側が1億円を請求したのには驚いたが、判決の160万円という金額をみると、読売側も主張の多くが否定されたと思う」とコメントしたが控訴する意向。
讀賣側は、巨人の桃井恒和球団会長が「妥当な判決だと考えている。3年は長かったが、終わってほっとしている。ファンと球界の皆さまにご心配をかけたことをおわび申し上げる」と述べた。


清武氏のコメントは「負け惜しみ」である。判決内容は清武氏の主張を退けるものだった。
日本の企業の多くは「ミニ北朝鮮」みたいなものだ。日本の企業では、権力者が人事に介入して、いったん決定したことをひっくり返すような事例は掃いて捨てるほどある。
この事件が発生したときから「一企業の社内事情を世間にさらけ出しているだけ」という批判があった。
私はプロ野球チームと言う公共性の高い団体の人事だから、必ずしもそうではないとは思っていた。ただ、その手の人事の問題よりも、もっと深刻なコンプライアンス違反や、モラルハザードがあったのではないか。人事をひっくり返した程度のことは、独裁者ナベツネにとって可愛い話ではないかとは思った。

讀賣を負われた清武氏は、告発本を出版し、「文芸春秋」などに寄稿した。



そこでは自身が巨人軍の代表に就いてから行ったチーム改革を詳細に紹介するとともに、渡邉恒雄氏の専横ぶりを書きたてた。
清武氏は讀賣を代表するジャーナリストだっただけに、読み応えがあった。清武巨人が育成枠での選手獲得や二軍の強化に力を注いでいたこと。ニューヨーク・ヤンキースに範をとって情報化を進めていたことなどは、興味深い事だった。
また、渡邉氏がそうした球団の強化策に全く無関心で、自己顕示欲を満たすために巨人を利用していることも良くわかった。

この本は大したことがなかったが。



渡邉氏のプロ野球に関する考え方をまとめた本も出版されたが、書き手の問題もあるだろうが、歯が浮くような提灯記事のオンパレード。内容的には月とすっぽんである。



清武氏がこのまま代表として巨人を率いていれば、生え抜き選手の成長や、データ野球の進化が見られたと思う。

清武氏が追放されてから、巨人は他球団の大物を引き抜いてきては主力に据える「大人買い」を再びやり始めた。
こうしたカンフル剤を打つような政策が、長い目で見れば、本来「育成のチーム」だった巨人を衰退させることになるだろうと思えた。

以下続く。



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