日本ではあまりなじみのない選手だが、間違いなく歴史に名を残すスラッガー。600本塁打は大記録だ。



歴代8位。そうそうたる顔ぶれが並ぶ。500本塁打以上は25人もいるが、ここから100本を積み上げるのが大変なのだ。

AB/HRは、本塁打率。何打数に1本本塁打が出るか。1位はベーブ・ルースだが、トーミは4位に相当する。大変なハイペースだ。三振数は最多だが、四球も多く、出塁率も3位(あくまでこの表の中でだが)。本塁打10傑の中でそん色がない。

その上、トーミはクリーンな打者として知られている。表中グレーは殿堂入り選手。そしてピンクはいわゆる筋肉増強剤疑惑のある選手。トーミはケン・グリフィJr.とともに、自分の筋肉で600本を叩き出した打者なのだ。引退後5年で殿堂入りが確実視されている。しかし本塁打ベスト10の選手のうち、4人が殿堂入り絶望的という現実には絶句せざるを得ない。

キャリアSTATSを見てみよう。



 

ジム・トーミは89年13順目でクリーブランド・インディアンス=CLEに入団。同期1順目にはこれもクリーンなスラッガーとして知られたフランク・トーマス(521本塁打)、3順目にはジョン・オルルード、4順目にはジェフ・バグウェルがいる。

それほど高い評価ではなかったが、そのパワーですぐに頭角を現し、90年代半ばには中軸打者となる。当時のCLEは打撃のチーム。その中心はマニー・ラミレスだった。99年マニーは165打点という空前の記録を達成するが、これはジム・トーミ(33本108打点)、ロベルト・アロマー(24本120打点)というスラッガーが並んでいたため、マニーと勝負せざるを得なかったからだ。ちなみに、この年トーミの控えだったのが現巨人のアレックス・ラミレスだ。

2003年FAとなったトーミは、6年8500万ドルでフィラデルフィア・フィリーズ=PHIに。移籍1年目で初のタイトル本塁打王を獲得。しかし2005年に右ひじを負傷、PHIは契約をシカゴ・ホワイトソックス=CWSに売り、トーミは4年5800万ドルで契約。昨年からはミネソタ・ツインズ=MINにいる。昨年は150万ドル+出来高、今年は300万ドルと格安だ。

タイプ的には今年、CWSに移ったアダム・ダンに似ているが、スケールは一回り大きい。昨日の本塁打は2本とも引っ張りではなく、流し打ちに近かった。バットにボールを激しくぶつけさえすれば、あとは勝手に飛んでいくという感じだ。

率直にいえば、600本を打つために現役を続けていた感もなくはない。しかし、40歳を過ぎても人々を喜ばせることができるのは偉大だ。いいものを見せてもらった、という感じである。

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