イチローのキャリアSTATSを内野と外野(内野以外の打撃)の打撃に分けた。外野安打率には三振も含めている。IF%は内野に飛んだ比率。








多くの打者が「打ち損じ」と断じてしまう内野への打球。イチローはここにも安打という「埋蔵金」があることを発見して、安打、打率を稼いできた。ニッチな世界を独自に見つけたのである。

現在のアリーグ打撃50傑に入っているMLB打者の内野安打率は.075程度。イチローは、ほぼその倍の.150前後の内野安打率をキープしてきた。これは、脚力にくわえて内野であっても安打になりやすいエリアに打球を落としてきたことを意味している。

同時に外野への打球を安打にする技術。平均は4割前後だが、イチローは常にそれを上回る外野安打率を記録してきた。2004年の.577は驚異的である。

MLBに挑戦してから10年。徐々に外野安打率が下がってきていた。これは強い打球を遠くに飛ばす能力が衰えてきたことを表しているといえよう。それを補うように、内野安打率は高いレベルをキープしてきた。同じような数字を毎年あげてきたイチローだが、その内容は年々変質してきたのだ。

今年は、まず外野に飛ぶ飛球が減った。外野安打率も小幅ではあるが下がった。これに加えて、内野安打率も下がった。これは内野安打のエリアに落とすバットコントロールが低下したということだろう。

イチローは守備範囲を示す数値でも依然、アリーグの右翼手中最下位である。総合的な運動能力が低下しているのだろう。

しかし、この数字はわずかな変化で大きく変わる。幸いにも脚力は健在のイチローである。今日はジョシュ・ベケットの初球を右翼スタンドへライナーで運んだが、体力の回復もありうるだろう。また、イチローは新たなニッチを見つけるのではないか。

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