なでしこジャパンについては、試合だけで十分だ。あの真夜中の試合、点を取られると「あ、もうだめだ」とテレビのスイッチを切って布団をかぶり、近所から聞こえる「キャー!」の声で起きてテレビをつける、を2回繰り返した私は、サッカーファンではないかもしれないが、PK戦のせつなさは身にしみた。で、試合が終わったら、それで十分満足した。
選手や監督の喜びの声などは、どうでもよかった。
しかし、マスコミはそうではなくて、今日にいたるまで毎日毎日なでしこは、テレビに出ている。とくに熊谷という選手のプライベートでの行状が世間をにぎわしているが、気の毒の一語だ。
この選手は、決勝戦の翌朝、バスから降りるところをいきなりフジテレビの女子アナにマイクを突き付けられていた。恐らく、睡眠はほとんど取れていなかったのだろう。不快さにゆがみそうになる顔を、必死に作り笑顔にしていた。正直な人だと思った。アナウンサーという人種は「失礼」という言葉を知らないのだろうか。
彼女たちは、勝つとわかった試合を戦ったわけではない。7割がた負けるだろうと言われた試合を、驚異的な精神力で勝ち抜いたのだ。終わった後は喜びとともに、脱力感と疲労で泥のようになっていたはずだ。マスコミに、一片の惻隠の情があったならと思う。
それから、ラモス瑠偉に澤穂希の写真にキスをさせていたマスコミは、ちゃんと謝罪したのだろうか。ラモスは奥さんの危篤の報に接して帰国していたのだ。もちろんそのことは秘してはいただろうが、辛かったと思う。マスコミも人の範疇に属しているのなら、心から謝ってほしいと思う。
なでしこジャパンによって、マスコミは何の苦労もせずに、ただで視聴率を稼いだ。それもスポーツではなく、それ以外のどうでもよい報道で荒稼ぎをした。その主な相手は、別にサッカーにも、スポーツにも興味のない視聴者だ。
改めて思うのは、世の中にはスポーツを見ることが好きな人が本当に少ないということだ。スポーツ選手や、その他の有名人がどんな服を着て、何を食べて、誰と付き合って、どんなスキャンダルをおこしたかを、テレビで見たい人はたくさんいる。しかし、試合を頭からお尻まで見たいという人は、はるかに少ないのだ。それは、今のテレビ番組をみればわかる。ゴールデンタイムは、ほとんどがバラエティであり、スポーツ中継はBSやCSに追いやられている。
私は、人が一生懸命体を動かしたり、何かを作ったりするものに比べれば、その周辺を嗅ぎまわるような番組は、くだらないと思っている。くだらない番組を作るための取材は、相手の感情を損なう不愉快なものになる。そういう番組が一番視聴率を稼ぐ、テレビというものも同様だと思っている。選手たちがくだらないものに煩わされるのは気の毒だと思う。
不愉快な嵐が過ぎてしまうと、なでしこたちはまた、日常に戻ることになる。練習時間をやりくりし、倹約しながらサッカーを続けることになる。
私は、このあいだまでなでしこジャパンの一員だった宮本ともみに、2度ほど話を聞いたことがあった。彼女は三重県の田舎の消防団員の妻であり、農家の嫁だった。お姑さんを手伝って食器を洗い、洗濯をし、子育てをし、気兼ねをしながら試合に出ていた。その毎日には、浮ついたところなど微塵もなかった。他のなでしこメンバーにも似たり寄ったりの生活が待っている。
マスコミに追い回される日々と、あまりにも地味で質素な日々。その落差が、彼女たちを苦しめることになるのだろう。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
↓
しかし、マスコミはそうではなくて、今日にいたるまで毎日毎日なでしこは、テレビに出ている。とくに熊谷という選手のプライベートでの行状が世間をにぎわしているが、気の毒の一語だ。
この選手は、決勝戦の翌朝、バスから降りるところをいきなりフジテレビの女子アナにマイクを突き付けられていた。恐らく、睡眠はほとんど取れていなかったのだろう。不快さにゆがみそうになる顔を、必死に作り笑顔にしていた。正直な人だと思った。アナウンサーという人種は「失礼」という言葉を知らないのだろうか。
彼女たちは、勝つとわかった試合を戦ったわけではない。7割がた負けるだろうと言われた試合を、驚異的な精神力で勝ち抜いたのだ。終わった後は喜びとともに、脱力感と疲労で泥のようになっていたはずだ。マスコミに、一片の惻隠の情があったならと思う。
それから、ラモス瑠偉に澤穂希の写真にキスをさせていたマスコミは、ちゃんと謝罪したのだろうか。ラモスは奥さんの危篤の報に接して帰国していたのだ。もちろんそのことは秘してはいただろうが、辛かったと思う。マスコミも人の範疇に属しているのなら、心から謝ってほしいと思う。
なでしこジャパンによって、マスコミは何の苦労もせずに、ただで視聴率を稼いだ。それもスポーツではなく、それ以外のどうでもよい報道で荒稼ぎをした。その主な相手は、別にサッカーにも、スポーツにも興味のない視聴者だ。
改めて思うのは、世の中にはスポーツを見ることが好きな人が本当に少ないということだ。スポーツ選手や、その他の有名人がどんな服を着て、何を食べて、誰と付き合って、どんなスキャンダルをおこしたかを、テレビで見たい人はたくさんいる。しかし、試合を頭からお尻まで見たいという人は、はるかに少ないのだ。それは、今のテレビ番組をみればわかる。ゴールデンタイムは、ほとんどがバラエティであり、スポーツ中継はBSやCSに追いやられている。
私は、人が一生懸命体を動かしたり、何かを作ったりするものに比べれば、その周辺を嗅ぎまわるような番組は、くだらないと思っている。くだらない番組を作るための取材は、相手の感情を損なう不愉快なものになる。そういう番組が一番視聴率を稼ぐ、テレビというものも同様だと思っている。選手たちがくだらないものに煩わされるのは気の毒だと思う。
不愉快な嵐が過ぎてしまうと、なでしこたちはまた、日常に戻ることになる。練習時間をやりくりし、倹約しながらサッカーを続けることになる。
私は、このあいだまでなでしこジャパンの一員だった宮本ともみに、2度ほど話を聞いたことがあった。彼女は三重県の田舎の消防団員の妻であり、農家の嫁だった。お姑さんを手伝って食器を洗い、洗濯をし、子育てをし、気兼ねをしながら試合に出ていた。その毎日には、浮ついたところなど微塵もなかった。他のなでしこメンバーにも似たり寄ったりの生活が待っている。
マスコミに追い回される日々と、あまりにも地味で質素な日々。その落差が、彼女たちを苦しめることになるのだろう。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
↓