わざわざ沖縄まで飛行機で行くのだから、熱心なファンに決まっている。沖縄キャンプで見たファンは、確かに都会のスタジアムで見るファンとは違っていた。その諸相を紹介しよう。
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1)マイアイドル派

ある選手を自分のアイドルと決めて、執拗に追いかけるタイプ。カメラを持ってその選手だけを追いかける。
打撃練習で、ティーを打っているのを見かけると、ネットの前でじっとその選手を撮影し続ける。連写したりする。一軍だけではなく、二軍にもそういうファンはいて、大きな背番号を背負った選手をどこまでも追いかけていた。ほぼ全てが女性、1人か2人。球団グッズは持っているが、地味。

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2)コミュニテイ派

特定のチームのファン同士でコミュニテイを作っている。年間通じてスタジアムで交流をしているようで、キャンプ場のスタンドで「今年もよろしく」、などと挨拶を交わしている。
それぞれお気に入りの選手がいて「私の⚪️⚪️くんは元気?」などと馴れ馴れしい。選手の情報は異様に詳しく、野球もよく知っている。しかし他球団には全く興味がない。
男女、比較的リッチ。中高年が多い。球団グッズで身を固めているが、それぞれが自己主張をしている。

3)おひとり派

この手の人が異様に多くて驚いた。女性が多い。1人、服装は地味。スタンドの上の方に座って、一生懸命に試合を見ている。
すごく細かいスコアをつけている人、試合を見ながらぶつぶつと独り言を呟き続けている人。
私は呟く女性の隣に座って、頭が湧きそうになった。
「そうなのよね、近藤君は足も速いんだから内野のほうがいいのよね」
「あ、また久が、アウトコースに意味のないボールを」
解説は的確なのだが、際限なくやられると頭の中が乗っ取られるような気がする。
グッズは持っているが地味。他の人とは一切交わらない。

4)ツアー派

旅行会社の「キャンプ見学ツアー」でやってくる団体さん。持っているグッズやユニフォームの着こなし方が画一的。親子連れや夫婦など、健全。試合前にサブグランドで選手と順番に記念撮影。オリジナルグッズを貰ってスタンドで練習試合観戦。でもバスの時間があるから途中で出る。今夜はホテルでパーティ、ゲストに球団の大物OBも。翌朝の便で帰宅というお手軽派。満足度高し。

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5)見巧者

中高年の2人組。関西弁。グッズは持たず。
「小宮山の課題はキャッチングやな」
「なんで手首を動かすかな、新人のときから変わってない」
「江越は、この打席が注目や、走者を置いてどんな打撃するかや」
スカウトかな、と思ったが、そうではない。長く滞在しているようで
「あいつ、先週のシート打撃のときより動きようなったがな」
などと言っている。長期滞在して、じっくりキャンプを見ているのだろう。こういうのを本当の道楽と言うのかもしれない。

6)どんちゃん派

ペナントレースの必需品とも言えるこの手の応援団は少ない。確かに、練習には応援は必要ない。練習試合で見かけたが、シーズン中より下手。トランペットが失笑を買っていた。
民族衣装のようなコスチューム。

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7)コリアン派

韓国チームの応援ツアーでやってきた人々。お揃いの帽子、親子連れも多い。割と大人しい。ただ練習試合で、韓国側がいいところを見せると熱烈に応援する。

8)ミリタリー派

少数ではあるが、在日米軍の将校とその家族と思しき人も見物している。沖縄の人は寒がりで、気温が20度近くあってもってもユニクロのダウンジャケットを着ていたりするが、アメリカンは半パンTシャツ。
NPBに興味があるというよりは、安上がりの暇つぶしか。
ただ外国人選手と親しげに話すのは何度か見た。

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9)地元派

毎年、キャンプを楽しみにして入り地元の人々。優しく穏やか。
なかに、90歳は超えていようかと言うお婆さんと、息子と思しき60過ぎの男性が、一つ一つのプレーに感想を漏らしながら観戦していた。
その言葉はウチナーグチ、つまり沖縄方言だから全く分からなかったが、野球を非常によくわかっているようだった。
お婆さんが、心底野球を楽しんでいるようだったのが、ちょっと感動的だった。

この日曜から那覇市内では「桜祭」。確かに体を動かすには理想的な環境。関西に帰って、今更ながら本土の寒さに震えている次第。

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