「読む野球」もはや7号。相変わらずのクオリティの高さである。今回は「捕手を読む」。
当サイトでも何度も取り上げたが、中嶋聡という選手は、野球史に比類のない存在だ。
1986年、昭和61年の阪急ドラフト3位。以来、29年に渡って現役を続けてきた。
とは言っても最近は年に1,2試合出るだけ。記録をつなぐためだけに試合に出ているようなものだ。
日本ハムのチーム事情があるのだろうが、こんな不思議な選手は、ちょっといない。
この中嶋聡に、長谷川晶一さんがインタビューしている。
例によって中嶋と関わりのあった投手にも側面インタビューをしている。
その顔ぶれが凄い。
山田久志、今井雄太郎、山沖之彦、佐藤義則、南海ファンだった私には憎さも憎し、懐かしし、という顔ぶれだ。
中嶋聡は、彼らの球を受けるながら、捕手として成長し、やがて三浦大輔、ダルビッシュ有らの捕手になり、今は大谷翔平の剛速球にミットを鳴らしているのだ。
このインタビューを読みながら、私は「寄席の下座」さんのことを思い出した。
「下座」とは、高座に上がらず舞台袖で三味線や鳴り物を担当する芸人のことだ。
華やかな脚光を浴びることはないが、舞台に最も近い場所から、噺家を見つめている。
若手が人気者になってスターダムに駆け上がり、師匠名人と呼ばれるまでをずっと見つめている。
若い頃は、師匠に叱咤されながら芸を学ぶがが、年をふるとともに、師匠たちよりも鋭い「眼」をもつようになり、ときには若手にやんわりとアドバイスを送るようになる。前座の高座を見て「あの子は売れるね」などと鑑識眼を利かせることもある。
自身は出世せず、日陰の存在だが、芸のことを誰よりも知っている。
芸人は「人生を賭けた勝負」をしている。そういう世界だから「下座」のような存在もあるのだが、選手寿命の短いスポーツの世界では、そういう例は少ないと思っていた。
中嶋聡は、不老長寿の翁のように、数世代にわたる投手の消長を見つめてきた。その長い長い物語を、巧みな筆致でじっくりと楽しむことができる。
嶋基宏、梨田昌崇、矢野煬大などのインタビュー記事も興味深い。
この号で、私は古田敦也にまつわる「たられば」を書いている。ま、ご笑覧を。
さらに巻末には、四国アイランドリーグplusが、今年から踏み出した改革のレポートと、徳島インディゴソックス坂口代表、今季からDeNAの2軍投手コーチになった島田直也前監督、楽天に入団したエースの入野貴大へのインタビューを載せている。昨年、じっくりと話を伺ったのだ。
当サイトでは四国の改革について何度も掲載してきたが、世間の反応は今一つだ。しかし四国の取り組みは、今後の野球界に大きな一石を投じることになると思っている。
恐らく、今の四国に関する一番詳しいレポート。「読む野球」で今後集中連載する。
今号も内容が濃い。必ず元が取れる。必読である。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
↓
クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。
1967年足立光宏、全登板成績【リーグ優勝&最優秀防御率】
広尾晃、3冊目の本が出ました。
1986年、昭和61年の阪急ドラフト3位。以来、29年に渡って現役を続けてきた。
とは言っても最近は年に1,2試合出るだけ。記録をつなぐためだけに試合に出ているようなものだ。
日本ハムのチーム事情があるのだろうが、こんな不思議な選手は、ちょっといない。
この中嶋聡に、長谷川晶一さんがインタビューしている。
例によって中嶋と関わりのあった投手にも側面インタビューをしている。
その顔ぶれが凄い。
山田久志、今井雄太郎、山沖之彦、佐藤義則、南海ファンだった私には憎さも憎し、懐かしし、という顔ぶれだ。
中嶋聡は、彼らの球を受けるながら、捕手として成長し、やがて三浦大輔、ダルビッシュ有らの捕手になり、今は大谷翔平の剛速球にミットを鳴らしているのだ。
このインタビューを読みながら、私は「寄席の下座」さんのことを思い出した。
「下座」とは、高座に上がらず舞台袖で三味線や鳴り物を担当する芸人のことだ。
華やかな脚光を浴びることはないが、舞台に最も近い場所から、噺家を見つめている。
若手が人気者になってスターダムに駆け上がり、師匠名人と呼ばれるまでをずっと見つめている。
若い頃は、師匠に叱咤されながら芸を学ぶがが、年をふるとともに、師匠たちよりも鋭い「眼」をもつようになり、ときには若手にやんわりとアドバイスを送るようになる。前座の高座を見て「あの子は売れるね」などと鑑識眼を利かせることもある。
自身は出世せず、日陰の存在だが、芸のことを誰よりも知っている。
芸人は「人生を賭けた勝負」をしている。そういう世界だから「下座」のような存在もあるのだが、選手寿命の短いスポーツの世界では、そういう例は少ないと思っていた。
中嶋聡は、不老長寿の翁のように、数世代にわたる投手の消長を見つめてきた。その長い長い物語を、巧みな筆致でじっくりと楽しむことができる。
嶋基宏、梨田昌崇、矢野煬大などのインタビュー記事も興味深い。
この号で、私は古田敦也にまつわる「たられば」を書いている。ま、ご笑覧を。
さらに巻末には、四国アイランドリーグplusが、今年から踏み出した改革のレポートと、徳島インディゴソックス坂口代表、今季からDeNAの2軍投手コーチになった島田直也前監督、楽天に入団したエースの入野貴大へのインタビューを載せている。昨年、じっくりと話を伺ったのだ。
当サイトでは四国の改革について何度も掲載してきたが、世間の反応は今一つだ。しかし四国の取り組みは、今後の野球界に大きな一石を投じることになると思っている。
恐らく、今の四国に関する一番詳しいレポート。「読む野球」で今後集中連載する。
今号も内容が濃い。必ず元が取れる。必読である。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
↓
クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。
1967年足立光宏、全登板成績【リーグ優勝&最優秀防御率】
広尾晃、3冊目の本が出ました。
この某監督に対する世間的なイメージは、先入観にとらわれず選手の良さを見出した人というものだと思いますが、人間には色々な側面があるなと思いました。
梨田は個人的に好きな解説者なのですが、今回の記事を読んで、やっぱり自分の好みに合う人だなと感じました。特に、「カウントを追いかけっこしながら組み立てていくべき」という理論は、自分が普段から感じていたことと一致していて嬉しかったですね。巨人ファン的に言うと、自分は阿部のリードが悪いとは全く思わないのですが、彼がいつも0-2から一球外に外すことに違和感を感じていましたので。
ミット進化論も興味深い記事でした。
広尾さんの「たられば」は中々やんちゃな記事でしたねえ。
今回の本でひとつ不満だったのは、捕手の打撃についての記事がなかったこと。キャッチャーが守備優先とは言え、今時、専守防衛のキャッチャーも流行らないわけで、古田、城島、矢野、谷繁、里崎、阿部など、みんな打撃に見るべきものがあったわけです。そこに触れられていないのは重要な論点が抜け落ちているようで残念でした。