事件は漂流をはじめている。
巨人軍の契約金問題の焦点は、清武英利氏が関わっていたかどうかに移っている。本当に大事なことではなく「誰がたれ込んだか」に関心が移るのは、日本人というせせこましい人々の特質だろう。西山事件にまつわるドラマ「運命の人」が終わったばかりだが、所詮、日本人は何かを改革するよりは、波風を立てたくないという性格の民族なのだ。
昨年まで私は江尻良文というジャーナリストを知らなかったのだが『はたしてイチローは本当に「一流」なのか』という本を読んで、目を見開かされたような思いがした。




グランドで素晴らしいプレーが行われているのに、江尻記者は、それが一向に目に入らず、その選手たちが誰に挨拶した、とか、誰と食事に行ったとか、そんなことばかり気になるらしい。
江尻さんにかかれば、イチローは松井秀喜を出し抜くことばかり考えている輩であり、引退後のビジネスのために大物OBにすり寄ろうとしているずるい男になる。

さて、江尻さんが今回の巨人軍契約金問題で、どんな記事を書くのか、わくわくしていたのだが、今朝、お得意の江尻節でこの事件を切ってくれた。

http://www.zakzak.co.jp/sports/baseball/news/20120319/bbl1203191122000-n1.htm

朝日新聞は毎日新聞と共催で行っている「選抜高校野球」を盛り上げたい一心で、読売グループ、プロ野球を潰しにかかったのだという。

折しも今年は、読売グループが招聘してMLBの開幕戦が東京ドームで行われる。このために、甲子園の観客数や高校野球の注目度が下がる可能性がある、これを危惧した朝日新聞が、読売側に攻撃を仕掛けたのだという。さらに、読売グループと大学野球も関係が深いので、朝日はこれも潰そうとしたのだという。

これって、隣の犬がうるさいからといって、その家をダイナマイトで吹っ飛ばすような話だ。高校野球を盛り上げたいからといって、プロ野球を潰そうと思うかぁ?

『夕刊フジ』編集委員という立派な肩書が付いているから、もっともらしく見えているが、ほとんど「とんでも本」レベルの話だ。

江尻さんの例は凄すぎるにしても、日本のメディアはなぜか枝葉末節が気になって仕方がない人が集まっているように思う。

「取材源の秘匿」がジャーナリズム、フリープレスの鉄則になっている中で、「誰が洩らしたか」を必死になって嗅ぎまわる人々は、もはやジャーナリストではないと思う。

この国では「大統領の陰謀」みたいなドラマは生まれないだろうなと思う。日本の記者たちは、大統領の悪事よりも、それを暴いた関係者=ディープスロートを追いかけまわすのだろうな。





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