昨オフのストーブリーグ最大の話題だったのは、サンディエゴ・パドレス=SDの左の強打者エイドリアン・ゴンザレスのボストン・レッドソックス=BOSへの移籍。

SDのホームグラウンドのペトコパークは右翼98mながら中堅123m、MLBでも最も本塁打が出にくい球場とされる。ここで5年連続30本塁打を打ったエイドリアンが、右翼92m、中堅116mのフェンウエィパークを拠点とするBOSに移れば、どれだけ本塁打を量産するのか、と思われたのだが。





意外なことに、本塁打はそれほど増加していない。しかし、昨年まで通算打率.284だったのが.349でバットマンレースのトップを走っている。これは意外な展開だ。そして打点でもトップ。これは、どんな要因が考えられるか。

エイドリアン・ゴンザレスの四球、二塁打、本塁打、平均塁打についてみてみる。



本塁打率はむしろ昨年よりもやや落ちている。そのために平均塁打もやや下がっている。しかし、二塁打率が急上昇している。エイドリアンは、マイナーリーグの成績を見れば二塁打の方が本塁打よりも倍近く多い。本来この選手は中距離打者なのだ。アリーグに来てその本領を発揮しだしたということだ。

さらに注目すべきは、IsoD=四球率が半減していること。これはエイドリアンの選球眼が悪化したわけではない。弱体SD打線の唯一のスラッガーとしてまともに勝負してもらえなかった。BOSに移籍し、ケビン・ユーキリス、デービッド・オルティーズという強打者に挟まれることで、歩かされるケースが減った。IsoDの下落は、エイドリアン・ゴンザレスが存分に勝負されていることを表しているのだ。

打点の急増はチーム事情の変化によるところが大きい。昨年のSDの1,2番打者と今年のBOSの1,2番打者を比較する。


打率で.035、出塁率で.062もBOSの方が上。R/Gつまり1試合当たり1,2番打者がどれだけ得点を挙げているかの数値もBOS1.366に対しSD1.056と大きな差がある。


打率で.035、出塁率で.062もBOSの方が上。R/Gつまり1試合当たり1,2番打者がどれだけ得点を挙げているかの数値もBOS1.366に対しSD1.056と大きな差がある。

前を打つ打者の生産性の高さが、打点の急増につながっているのだ。

本来エイドリアン・ゴンザレスは確実性のある中距離打者だったのかもしれない。しかしお山の大将を強いられたSDでは、大きいものを狙っていかざるを得なかった。スラッガーぞろいの強豪BOSに入って、本来の持ち味を発揮し始めたのではないか。

おそらく、シーズン後半には長打も量産し始めると思う。今季はタイトルを獲得する可能性が高いのではないか。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!