実感として野球の裾野を広げる活動は難しい。そもそも、プロやアマの野球の団体は、競技の振興はしてきたが、本格的に裾野を広げる運動に取り組んだことは一度もない。
野球団体からしてみれば、野球とは9人以上の選手がユニフォームを着てするものであり、規格通りの球場で、審判もいて、ミットやグローブやヘルメットやプロテクターも揃っているのが野球だと思っている。
近所の空き地でやってるのは、野球でもなんでもないし、極論すれば、唾棄すべきものだ。くらいにしか思っていなかった。


野球関係者は、そういう野球のプロパー以外は、野球ではないと思っていた。
そして野球ファンとは、野球プロパーの行う野球の試合を押し頂いて見るような存在だと思っていた。
草野球、野球ごっこと「ホンモノの野球」はなんの関係もないと思っていた。

しかしながら草野球、野球ごっこに興じた経験のある人々は、コアの野球ファンであり、裾野の底辺ではあったが、一番重要な人々だったのだ。

この辺り、サッカーとは大いに事情が異なる。
南米やラテンの国々では、サッカーの才能は近所の空き地から掘り起こされた。
サッカーのスカウト達は、ストリートサッカーを見て歩き、稀有の才能をまだ双葉のうちから見出した。
設備や競技場、人数が足りない草サッカーも、トップリーグの遥かな裾野に位置付けられていたといってもよい。
私はその辺りの事情をよく知らないで言うのだが、フットサルという競技は、そういう草サッカーの競技化ではなかったか。
サッカーは、裾野の最底辺からトップまでが切れ目なく繋がっている。だから、サッカーの普及を目指すメソッドは矛盾なく一般に広がったのではないか。

野球は野球ごっこと「本当の野球」の間に大きな段差がある。だから裾野は広がらなかったのではないか。

プロ、アマの野球団体は、野球の普及を進めるために、この段差を埋めるべきである。
NPBが推進している壁当て用の壁の寄付は、良い取り組みはだと思うが、それと並行して、サッカーのフットサルに相当する競技の開発、普及に取り組むべきではないか。

例えば三角ベースで、プラスチックバットを使って、おもちゃのボールを打ち、素手で取る野球を、普及する取り組みを始めてはどうか。

すでに「カラーボール野球」という競技がある。これは大人が一生懸命にやっているが、これを子どもに普及させてはどうか。

ColourBall


これなら危険性もないし、場所も取らない。
そこから一流の選手が出てくるかどうかわからないが、野球をする楽しさの一端を知ることはできるだろう。
物足りなく思えば、本物の野球へと進む子供もいるだろう。

普及の予算も知れていると思う。馬鹿馬鹿しいと思わずに、考えていただければと思う。


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