本人も巨人戦での8年ぶりの完封を望み、チームもそれを容認したのだろうが、7回、8回の投球を見れば考えるべきだった。
今季初の巨人戦。東京ドームも初。
黒田はこの日、スライダーのキレが良かった。
1回裏、1死から立岡が左前打で出るが、盗塁死。結果的に三者凡退。坂本がフルカウントから粘ったがスライダーを見逃し。
前回登板では、あまり変化しないカッターを多投していたが、この日の黒田はキレのあるシンカーでカウントを稼いでいた。
2回裏も三者凡退。相性の良さを買われて先発出場した高橋はスプリッターに全くタイミングが合わない。
3回裏、低めにシンカー、スプリッターが決まっている。三者凡退。
4回裏、二順目に入る。三者凡退。坂本は良く粘ったがシンカーをひっかけた。
5回裏、阿部は速球系を狙っていたのだろうが、黒田はスライダーとスプリッターで通した。見事な勝負。
6回裏、下位打線を三者凡退に退ける。
確かに黒田の調子は良かったが、巨人の打線は本当におとなしい。一発の怖さを感じる打者がいない。
7回裏、3順目、久々に長野に安打が出る。立岡、坂本を抑えるが阿部は警戒しつつ歩かせる。亀井は二ゴロ。制球が甘くなっている。
8回表、丸がライナーでバックスクリーンに飛び込む先制本塁打。高木勇の好投は報われず。
8回裏、高橋三振、村田一飛、相川がスプリッターを振り来て安打。スプリッターも甘くなっていた。代打堂上は遊ゴロ。
ここまでで102球。思案のしどころではあるが、40歳と言う年齢を考えても、7、8回と精度が甘くなっていることを考えても、降板すべきタイミングだった。
広島のクローザー中崎がブルペンで準備をしていた。しかしこのクローザーはそれほど信頼されていない。そういうこともあり、黒田の意向もあって続投となったのだろう。
9回裏、長野が反応良く右前打。立岡は送らず勝負、しかし三振。坂本は甘くなったシンカーを振り抜く。阿部は狙い澄まして右前打。同点。
ここも代えるタイミングだったが、緒方監督にはそれができなかったのだろう。
亀井は初球を左翼に打ち上げる。サヨナラ犠飛。
完封よりも勝利の方が大事と言う自明の理に反した決断が招いた敗北だろう。
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