すべてはMLBを代表する左腕、クリフ・リーに袖にされたことから始まった。ほしいものはより取り見取りだったはずのニューヨーク・ヤンキースにとっては予想外のことだった。前年引退したアンディ・ぺティットを恨めしく思った関係者もいただろう。
NYYの投手成績。昨年と今年。各STATSのアリーグ14球団での順位、各数値の昨年対比を入れた。

NYY-2011-Pitch2

あまり活発でなかった市場から、バートロ・コロン、フレディ・ガルシアを獲得。昨年のハビア・バスケスと同様、大きな期待はしないが、先発の4、5番手程度を想定しての起用だった。バートロ・コロンが一時期エース級の働き。ガルシアとともにまずまずの出来だった。

エースのCCサバシアは、昨年よりも良い出来だった。この投手は、数字ではなく「勝ち星」をとることに徹しているように思う。勝負師としての冴えを感じる。

星は上がっているが、AJバーネットの乱調はさらにひどくなった。全く故障せず、32回登板してQSはわずか10回。不用意な球が多く、被本塁打は31回。マウンドで頭に血が上るシーンが何度もあった。

2年目のイヴァン・ノヴァは6月10日の登板から11連勝でシーズンを終えた。もちろん、強力な打線の援護があったからだが、来季はCCに次ぐ存在になろう。

タンパベイ・レイズ=TBからとったクローザー、ラファエル・ソリアーノは打ち込まれるシーンが多かったが、2年目のデヴィッド・ロバートソンがセットアッパーとして素晴らしい活躍。少し前のプロスペクト、ジョバ・チェンバレンも素晴らしい活躍だったが6月に故障してしまった。

そして、今年もマリアノ・リベラは鉄壁だった。41歳にして44セーブ。セーブ機会での失敗は5回あったが、終盤はほぼ完ぺきだった。600セーブ、そしてトレバー・ホフマンを抜く歴代最多に達したのも今年だ。
昨年は21人で回したNYY投手陣だが、今年は28人。新人や他チームから獲得した投手を次々と試していたのだ。中には、昨年日本ハムにいたバディ・カーライルの名前も見える。合格と言える投手はあまり多くないが、ここにも新しい戦力を模索するNYYの姿勢がうかがえる。

総体とすれば中位程度の投手力だが、打線の援護を得て勝つという形は来季も変わらない。
エース級の補強は今年も必至だが、同時に無名の新戦力も出てくるだろう。NYYの視野は広い。