長くニューヨーク・ヤンキース=NYYの栄光を支えてきたデレク・ジーター、ホルヘ・ポサダ、アレックス・ロドリゲスの衰えがはっきりしだしたのは、昨年のことだ。ジーター、A-RODの二人は、MLBを代表するスターでもある。NYYは、大物の処遇に配慮しながらも、徐々に世代交代を図ってきた。その手腕は見事だった。
前年と今年の成績の対比。各STATSのアリーグ14球団での順位、各数値の昨対を入れた。

NYY-2011-Bat

ボストン・レッドソックス=BOSの項でも述べたが、捕手にラッセル・マーティンを入れたのは大きかった。好守に渡って安定感が出た。そして、2005年から辛抱強く使ってきたロビンソン・カノが打撃だけでなく守備でも中心選手に成長。抜群の長打力を誇るタシェアラとともに打線の中心にどっかりと座った。2人で67本塁打229打点。この2人の存在感が増し、ベテランへの依存度が下がったことで、NYYはフォーメーションが組みやすくなった。

チームが予測していたのかどうかはわからないが、カーティス・グランダーソンが狂い咲きのようにすごい数字を上げた。さらにブレット・ガードナーも49盗塁でタイトル獲得。パワーとスピードがさらに追加されたのだ。地味ではあるが、ニック・スイッシャーは95四球。仕事をきちっとこなしていた。

ベテランの花道を確保しつつ、新たな千両役者の登場も促す。これこそが、常勝チームならではの円熟したマネージメントではないか。これとオーナーであるスタインブレナー家の世代交代とは、どのような関わりがあるかはわからないが。
ポストシーズンの弱さは、ペナントレースが安泰過ぎてチームのコンディション、モチベーションが低下したことによる。この課題は残る。

このオフはプホルズ、フィルダーなど大物打者のFAが控えている。NYYは当然これに参戦するだろうが、一時期の金にあかせた強引な補強の時代を過ぎて、NYYは賢い金満チームに代わりつつあるようだ。