同地区のボストン・レッドソックス=BOSがタンパベイ・レイズ=TBの中心打者カール・クロフォードを獲得すれば、ニューヨーク・ヤンキース=NYYは絶対的なクローザーのラファエル・ソリアーノをむしり取った。えげつないことをするものだ。しかもソリアーノは、マリアノ・リベラの「保険」だった。ただし、皮肉なことにライバルチームに引き抜かれた投打の主力選手は、ともに不振をかこつことになった。
TBの投手成績。昨年と今年。各STATSのアリーグ14球団での順位、各数値の昨年対比を入れた。

TB-2011-Pitch

チームは昨年ブレークした先発投手、マット・ガーザ、優秀なセットアッパーのホアキン・ベノア、計算できる救援投手のランス・コルミエ、ダン・ホイーラーも失った。打線よりも損失は深刻だった。

しかし、下位に低迷していた時代の長かったTBは、ドラフトのウェーバー制の恩恵によって、若手選手層が分厚い。昨年後半に出てきて4勝を挙げたジェレミー・ヘリクソンが先発5本柱の一角に食い込んだ。今年も4人が規定投球回数に達した。

チームはベテランクローザーのカイル・ファーンズワースをアトランタ・ブレーブスから獲得。彼はソリアーノに比べれば見劣りはしたがきちっと仕事をした。また、比較的年俸の安いベテランの救援投手を獲得。彼らもチームに貢献した。

シアトル・マリナーズ=SEAや今年のBOSのように、獲得した選手がさっぱり働かないチームがあるなかで、TBは新加入選手がしっかり仕事をする。選手を見る目が違うのか、入団後のマネージメント力の差なのか。

勝ち星は5つ少なかったが、チーム状態は極端に悪化しなかった。シーズン後半に勢いを盛り返し、スローダウンしたBOSを最終コーナーで抜き去った。

来季は9月に昇格して好投したマット・ムーアやアレクサンダー・トーレスも期待できよう。タンパベイ・レイズは、今年、本物の「強豪チーム」であることを、周囲に示したと思う。