先日、ソフトバンク以外の他の球団は何をやってるんだというブログを書いて、かなりの抗議の声をいただいた。他の球団も努力をしている。特に日本ハムの育成法はすごい。何もしていないとは何事か、とお叱りを受けた。もう一度説明をしておきたい。
ソフトバンクと、日本ハムなど他球団の「企業努力」は次元が違うのだ。経営レベルでは、ソフトバンク以外の他球団は何もしていないに等しい。

強いチームを作るのは「プロ野球」というビジネスを行う上での基本だ。チームが強くなってペナントレースで上位に行けば、お客は増える。グッズの売り上げも増えるし、スポンサーも増える。
だから、どの球団もチームを強くするため努力をしている。

少しでも良い選手を獲得するためにスカウト網を強化したり、獲得した選手に実力を発揮してもらうためにトレーニングをしたり、モチベーションをアップさせるためにコーチングをしたり、怪我のリスクを避けるために体のケアをしたり、作戦面のアドバンテージを得るためにセイバーメトリクスやその他のデータを活用したり、じつにいろいろなことをしている。その中では、日本ハムは、とりわけ優秀なのだろう。

しかしながら、これらの企業努力は「業務レベル」であって「経営レベル」ではない。

一般企業でいえば、他球団の努力は、生産工程にQCを導入したり、商品開発を強化したり、販路拡大をしたり、CMを打ったり、接客技術を向上したりするのと同じだ。
それらは社業を拡大するために不可欠なことだが、言ってみれば、どこでもやっている。方法論こそ違え、まともな企業であれば、そういう努力をしないことは考えられない。
これらは課長、部長、せいぜい取締役部門長あたりの仕事だ。

Hawks


しかしソフトバンクがやったこと。すなわち他球団より20人も多くの選手を獲得し、チームをもう一つ作って、年間80試合も行ったことは、他球団の企業努力とは次元が違っている。
さらに二軍のスタジアムも新たに用意しようとしている。

一般企業でいえば、工場を新設したり、企業を買収したり、設備投資をして全社的な新システムを導入するようなレベルだ。職掌でいえば、取締役以上、経営者が決裁しなければできない次元だ。

ソフトバンク以外の球団が何もしていない、というのは「経営者レベルが自分の仕事をしていない」ということだ。
日本ハムが鎌ヶ谷のスアジアムを充実させているのは設備投資だろうが、その先がない。

経営者は日々の売り上げには関与しない。三木谷さんのように現場に口を挟むのはあたまがおかしな経営者だ。
経営者の仕事とは将来的な「リスクの回避」と「成長への投資」である。人よりも高い位置から遠くを見晴るかし、先に手を打つのが経営者の役割だ。

ソフトバンクの三軍構想は、数年前から始まった。まさに、将来的な成長への投資だったのだ。
こうした大きなシステムの導入は、金もかかる。時間もかかる。毎年のように自分のクビを気にしなければならないGMや現場の指揮官にはできない仕事だ。
王会長、そして孫正義オーナーが断を下してこの投資を行ったのだと思う。

「ソフトバンクは金持ちだからそれができる。他球団は金がないから無理だ」という声をよく耳にするが、それは嘘である。
プロ野球を子会社に持つ企業が、もうかっていないはずはない。規模でいっても、業績でいっても、プロ球団の親会社は、日本でも一流企業だ。
しかし、多くの親会社はプロ野球のことを「成長が可能なビジネス」だとは思っていない。昔、そうだったように「広告費でまかなえる道楽」としか見ていない。
そのうえ、経営への情熱もあらかた失っている。
手放さないのは「外聞が悪い」だけで、できればこれ以上、金をかけたくないと思っている。だから経営者はできるだけ前向きな仕事をしないようにしている。親会社のない広島と同じような経営方針なのだ。

私は毎年のストーブリーグでの選手の出入りを追いかけているが、多くの球団は年俸総額を増やしていない。選手を少し入れ替えて見せるが、何もしていない。
少し前までストーブリーグは毎年、巨人が独り勝ちだった。よそから強い選手を引っ張ってくるのは、投資としては効率が悪い。頭の良い企業努力とは言えないが、巨人は強くなりたいと思い、金も使い、努力もしたのである(今年の巨人はそれもしなかったが)。巨人は、まだまともな経営をしていたといえる。
多くの球団は、そうした努力さえしていないのだ。

ソフトバンクは、プロ野球というビジネスに可能性を見出している。
投資をすれば、それなりのベネフィットがあると確信している。グループにもメリットがあると思っている。だから他球団がやらない努力をしている。
しかし他球団は、プロ野球を「温存」したいと思っているだけだ。本業が傾かない限り手放しはしないが、適当にやって、これ以上赤字を増やさないようにしたいだけだ。
DeNAや楽天などのベンチャー系はそうではないはずだが、今のところ既存の球団との違いは見えない。

この意識の差は大きい。他球団の意識レベルが、このまま低いままなら、ソフトバンクにとってプロ野球はブルー・オーシャンになっていくだろう。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!


1980年柳田豊、全登板成績【3年連続2ケタ勝利・自己最多タイ13勝】