昨日、引退試合のことを書いたが、その後半部分にムッとする人が多かったようだ。「お前は一言多い」とも言われたが、すいません、その一言が書きたかったのだ。

当ブログは、「今日、夙川のワンワンカフェに行ってきました。ミニチュアダックスのペロもご機嫌」みたいなことを書くために始めたのではない。野球というテーマで、日々感じたこと、感動したこと、憤ったことなどを、出来るだけダイレクトに書いて、読者各位に読んでいただきたいと思っている。もちろん、賛同いただきたいと思っているが、反論、反発も覚悟の前だ。
賛否いずれでも良い意見があれば、ぜひコメントいただきたいと思っている。
特に、今回書きたかったことは、前々から評判が悪いので、風当りは強いだろう、それを見たい。そういう魂胆で書いた。

ネット上でよくある反応は「せっかく楽しんでいるのに、それを禁じるのか」とか「飲まず食わずで野球だけを観戦しろというのか」みたいなのだ。私はNPBの偉いさんでもないし、この世を影から支配している黒い手でもない。50がらみのただのオヤジである。私が気に入らないといったからといって、そういう方向に制度が改正されるわけでもない。たんなる意見である。気に入らなければ言い返すなり、無視するなりすればいいのだ。

私はその上、こういう風潮は仕方がない、と諦めてもいる。
今朝から2本、NPBがブームといっても良いほど観客数が伸びていることを紹介した。これは基本的には、NPBのマーケティングサイドのお手柄である。
どんちゃん騒ぎのお客も含め、誘客の努力をし続けた成果だ。どんな客であれ、球場が満杯になるのは、本当に喜ばしい。お客が増えて、身入りが増えればNPBは充実するはずだ。

NPBのマーケティングは、すごいレベルに達している。ロッテなど多くのファンクラブでは、顧客一人一人のデータを取って「あなたが球場に来た日の勝率は何割」とか「今度の誕生日には◯◯戦があります」なんて個別のマーケティングをしている。
私は広告屋であり、企業の販促責任者や商品開発の担当者だったことがある。マーケティングの重要性は知っている。
しかし一個人としてはその手には乗るまい。と常に思っている。物事の選択や購入は、自分だけの考えでやりたい、と思っている。
「売れている」「大人気」と書いてあるものは、まず最初に選択肢から捨てる。人と同じことをするのは大嫌いだからだ。大ヒットしている映画は見たことがない。何年か経ってから見ることがあるが、あの時見ておけば、と思ったものは一つもない。
だからトレンドや流行りには極端に疎い。

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しかし、私は自分の感覚だけで探し当てた「宝物」をたくさん持っている。
野球で言えば、選手の小さな素振りが次の大きなプレーも伏線だったことを見逃さなかったり、打者がある瞬間に狙い球を変えたことを感じたりすることだ。私はどんな試合でもスコアブックをつけているが、それと照らし合わすと思わぬことが見えてくるものだ。

そして観客席も。先日のU18の試合は、応援団が一切いなかった。風船もなし、ラッパもなし、野球だけ。お客の入りはそれほど良かったわけではないが、球場全体が野球に集中していた。良いプレーが起こると、敵味方に関わらず、場内から大きな拍手が起こったのだ。これにはジーンとした。ここにきている人々は、野球を知っている。勝った負けただけでなく、良いプレーの意味を知っている。そして敵味方関係なく良いプレーを愛でる雅量も持ち合わせている。安っぽい引退試合の100倍くらいいいと思う。

実は、これは大したことなのだ。
最近、秋になると台湾で野球を見ることが多いが、台湾のファンはフライが上がると一斉に声を上げる。私から見れば、行き先を目で追わなくてもいいような凡フライでも大騒ぎだ。こういうのを見ると、しみじみ日本のお客は目が肥えていると思う。

ゴテゴテした演出は、こうした日本の野球観戦のレベルの高さを覆い隠してしまう。確かに野球初心者を集めるのは大事なことだ。どんどんやってほしい。しかし、演出はほどほどに、とも思うのだ。

この手の演出は真似をして波及していく。そしてエスカレートする。
風船飛ばしも、元は広島で始まったが、今は全球団、さらには独立リーグまで広がっている。年間数千万個ものゴム風船が球場に捨てられている。
応援にしても、どぎつい応援が続いた挙句、球団が規制をかけるようになった。この手の応援は、選手の応援という本分を忘れて、自分が目立つことを考えるようになるのだ。放置すれば、エスカレートするのだ。

マーケティング的にいっても、この手の一部ユーザへの偏重は他の顧客を失うことになりかねない。
当然考えていると思うが、球団は一過性ではなく、永続的な顧客を獲得するために、野球の本質価値に即したマーケティングをしてほしい。

今後も球団は、カラフルで賑やかな誘客を展開するだろう。私は気に入らないが、我慢する。球場の端っこで、ビール片手にスコアをつけて私だけの野球の楽しみに浸るのだ。
ウェーブや応援の手拍子などは一切無視しつつ。


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1980年柳田豊、全登板成績【3年連続2ケタ勝利・自己最多タイ13勝】