久しぶりに事態が動いた。巨人軍から朝日新聞に反論があったのだ。もちろん読売新聞への掲載だが、今回は「読売新聞」ではなく巨人軍。
12項目。
前回の回答が不誠実であるとし、

1)朝日が取り上げた1997~2004年の選手の契約金が最高標準額を超えていたから、どんな問題があったというのだ。

2)2001年6月の実行委員会で議長だった小池唯夫パ・リーグ会長が「(標準額をオーバーした分を“裏金”とするような)報道があった時に(文書で)反論するのがいい」と言っている。これをどう理解するか。

3)朝日は記事の見出しで「球界申し合わせ超過」と表現しているが1)に照らせばこの見出しは明らかに誤報であり、不適切だと思うがどうか。

4)新人選手の契約については、入団契約の際にも、数年間は契約を維持するという認識のもとに交渉が行われている実態を知っているのか。

5)2007年に新人選手の契約金を上限1億円(出来高を含め1億5000万円)と決めた際も、少なくとも最高標準額は入団初年度に支払う金額が念頭に置かれていたことを知っているか。

6)6選手の契約金額が、「最高標準額」を超えていたとしてもルール違反とはいえないが、最高標準額はあくまでも入団初年度に支払う金額だったのだから、複数年にまたがった場合は4)5)の理由により問題ないと思うが、どうか。

7)巨人は、税務当局と相談して新人選手の2年目以降の出来高払い分は、入団初年度の支払いと異質であることを明確にする見直しを2001年に行っている。これを知っているのか。

8)巨人だけでなく事情をよく知るNPBの関係者などにきちんと取材をしてほしいと強く要望したが、翌日の朝刊に記事を掲載した。朝日は取材したのか。

9)記事に取り上げられた選手6人のうち少なくとも2人については、明らかな誤報だ。何を根拠に報道したのか。

10)記事に取り上げられた選手の契約内容は、(1)8年~15年も前のことである(2)選手個人のプライバシーに関わる極めてセンシティブな情報である(3)当時の球界のルールに違反するものではない-にもかかわらず、選手の実名をあげて写真付きで報道する価値があると考えた理由を答えろ。

11)朝日は記事を「巨人軍の内部資料」を根拠の一つにして書いているが、巨人に裏を取っていない。なぜこれを本物と判断したのか?

12)仮に本物であれば、それは巨人から違法に持ち出されたものだ。情報提供者が、違法な手段で取得した資料に依拠した報道について、どのように考えているのか。







基本的には目新しいものはないが、朝日が取材した6選手の契約が、違反ではなかった論拠に

「小池唯夫氏(毎日新聞社長、新聞協会会長歴任)も違反じゃないと言っている」
「最高標準額はあくまで1年目の金額で、次年度以降は含まれていない」

を加えて補強している。二つ目は巨人が抜け穴を使ったということだと思うが。

朝日新聞は今朝、「巨人に国税が見直し指導04年『分割払い分も契約金』」という記事を上げている。ほんのジャブではあるが、今回巨人が持ち出してきた「分割して次年度以降に支払えば、契約金ではない」という主張がすでに崩れたことを意味している。

しかし「契約金1億円+出来高」という申し合わせは何のために作ったのだろう。守らなくても良いとトップが明言するような取り決めをどうして発表したのだろう。

「最高標準額」が決められたと聞けば、誰だってそれがルールだと思うはずだ。NPBぐるみで世間を欺いていたのか。違法性の問題ではなく、道義的な問題はどうだったのか。

自分たちで決めた「最高標準額」が有名無実だったのだから破っても問題がない、と胸を張って言う厚顔無恥には、あきれるほかはない。
契約金の高騰を抑制するとともに、戦力の均衡を図るという大義名分は、どこへ行ったのだろうか。

この抗議は読売新聞社ではなく巨人軍が行っている。報道機関ではないから、ジャーナリズムにあるまじき抗議とは言えない。
巨人は5日以内の回答を求めている。朝日新聞はできるだけ具体的に、言論の府らしく理路整然と反論していただきたい。

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