小久保裕紀監督の顔は、このシリーズが始まってから一回り小さくなったように思えた。その心労は相当のものだっただろう。
韓国戦でまさかの敗戦をして、小久保監督の解任論が渦巻いているという。敗戦のショックが選手ではなく、監督に向いているのはまだましだが、残念な話である。

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多くの日本のファンは、プレミア12を、安物の「西部劇」か何かのように思っていたのではないか。
日本のヒーローたちが、名前も分からないインディアンのような外国の選手たちをどんどんやっつける。相手はみんな、日本にやっつけられるために存在している。このシリーズは日本が勝つためにある。
そんな予定調和的な西部劇で、ヒーローが負けるなんて信じられない。監督は何をやっているんだ、金返せ!
というところか。プチ大国日本の驕りが透けて見えて、醜悪である。

台湾で10試合を見て思ったのは、日本は決して強くないということだ。たまたま全勝したが、最後のプエルトリコ戦を除いて、楽に勝った試合はなかった。
日本が誇る先発陣は、大谷翔平を除いて一度は打ち込まれた。救援陣に至っては、カモにされる投手もいた。
打者はみんなよく打ったが、相手の打者も負けていなかった。
勝つことができたのは、日本が、レギュラーと控えの差が小さく、終盤に差し掛かっても戦力が落ちなかったこと。そして小久保監督が選手の起用をおおむね誤らなかったからだ。
むしろ私は、これだけ環境に恵まれているNPBが、寄せ集めのような他国と、大差がなかったことにショックを受けた。MLBに挑戦など早すぎると思った。

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小久保監督は、預かりモノのスター選手たちに気を使っているのがありありと見えた。
菅野や西など、立ち上がりから不調が明らかだった投手でも、すぐに降ろすことはしなかった。また、打ち込まれた投手には、必ず再挑戦させていた。そのために、むしろ無難に抑えた投手の起用が少なくなったのは残念だが、選手たちが「これで終わるわけではない」ことを十分に認識しているのがわかった。

小久保は、王貞治や原辰徳、星野仙一など赫々たる戦績を挙げて就任した監督ではない。それだけに細心の気配りをしていたのだと思う。
そのうえで、弱いチームをここまで引っ張り上げたのだから、その手腕は評価されるべきだと思う。韓国戦は「最善手」とは言えない采配が目立ったにしても。

人もまばらな球場で、他国同士の対戦を見るうちに、一人一人の選手のしぐさや個性に見分けがつくようになった。閑散とした球場で、彼らは一生懸命に野球をしていた。

あるものは、NPBやMLBへの“仕官”の口を模索していた。ネット裏に常にいたスカウトたちにいいところを見せようとしていた。
あるものは、“出世前”で、指導者たちの期待に応えようとしていた。
あるものは、引退寸前で、自らのプライドにかけてプレーをしていた。
やる気のなさそうな選手はいなかった。プレーは真剣で、ヒットを打てば喜び、失策をすれば悲しんだ。またライバル関係も見て取れた。

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日本だけでなく、参加国すべての選手は自らの野球観、そして人生観をスタジアムでぶつけあっていた。私は彼らに敬意を抱いた。また数少ない応援の人々にも親近感を抱くようになった。

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プレミア12は、日本のためだけに存在していたのではない。他の11か国の選手も「主役」であり、グランドで輝いていたのだ。
たった1敗したからと言って、すべてが台無しになったかのように騒ぐファンはおこがましい。成金めいてみっともない。

日本選手の台湾での行状が台湾メディアを通じて報道された。坂本勇人は火のついたタバコを路上に捨てたという。この男の本性が見て取れる。日本はまだ王者でも、真のエリートでもない。未熟である。

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小久保裕紀監督は、今回の戦いを通じて、視野を開き、世界の野球に畏敬の念を抱いたのではないか。謙虚な気持ちを持ったと思う。
最初の采配は上々の出来だったと思う。小久保はこれから世界に本当に通用する“侍ジャパン”を創っていくのではないかと思う。降板などとんでもない。


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