まず、「侍ジャパン」は、NPBの将来を見据えた事業であることを認識すべきだと思う。
この事業は「野球の国際化」を目指す中で、「13番目のチームを作る」意気込みのもと、設立された。それまでの「日本代表」とは性格が違う。
単に「勝った、負けた」ではなく、継続的な「事業」だということだ。

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MLBは、レギュラーシーズンも、ポストシーズンも、すべての収益がいったんはMLB機構のもとに入る。そのうえで、一定額を差し引いて各球団に分配する。だからMLBの権限は非常に強い。球団が勝手なことをすることはできない。
もちろん、プレミア12に選手を派遣しないなど、球団オーナーは機構の意向に逆らうこともあるが、MLBが推進する強力なビジネスモデルの下でビジネスを展開している。

NPBも1950年以前は、いちどは機構に収益が入り、それを分配していた。しかし2リーグ分裂時に、オーナーたちが横車を押して球団の懐に直接売り上げが入るようにした。NPBには一銭も入らなくなった。NPBの収益源は、オールスターゲームと日本シリーズだけになった。この中から機構の運営費を支払い、選手年金も賄っていた。しかし、選手年金制度は2012年に破たんしている。

NPBが球団に対して発言力が弱く、コミッショナーがお飾り同然なのは、経済基盤が脆弱であることが大きい。NPB事務局のスタッフはほとんどが各球団からの出向者であり、その中でも巨人、讀賣グループ出身者が幹部社員になっている。

NPBが独立した事業を行い、実質的な「力」を手にすることは、NPBプロパーをはじめとする心ある人たちの悲願だったのだ。
残念ながら「侍ジャパン」の社長は日本テレビ出身であり、骨抜きにされたきらいがあるが、それでもNPBが、独自に事業をすることは有意義なことだ。独立した力を得るための第一歩だ。

さらに「侍ジャパン」は、野球の将来を見据えた「事業」でもある。
少子高齢化、コンテンツの多様化の中で、野球の国内市場は縮小することが確実だ。競争も激化する。
NPBは、市場の国際化を図るとともに、野球を「ナショナルパスタイム」から「インターナショナルスポーツ」に昇格させることで、ステイタスを上げる必要があった。

道は非常に険しいが、そういう意図をもって「侍ジャパン」はスタートしているのだ。
小久保裕紀監督は、まさにそうした事業の担い手であり、試合の采配だけでなく「侍ジャパン」育成の担い手でもあったのだ。
12球団の監督が兼任できない理由もここにある。前述のとおり「侍ジャパン」は13番目の球団なのだから。

単に勝った負けたで監督の首をすげていては、継続的な事業は成り立たない。
小久保監督の担うものの大きさを考えれば、今回の失敗は小さな蹉跌だと言えるだろう。
もちろん、ファンにそれをすべて理解せよとは言わない。しかし侍ジャパンと、これまでの日本代表とは大きく性格が違っているのは理解すべきだ。

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日本人ファンが傲慢だと書いたのは、「日本は勝って当たり前だ」と勝手に思い込んでいたからだ。
試合を逐次見ていれば、侍ジャパンは苦戦の連続であり、とても「勝って当たり前」な状況ではないことはわかったはずだ。
小久保監督に瑕疵がなかったとは言わないが、借り物の選手をうまく使おうと奮闘していた。誠実な采配だったと思う。
ファンにもいろいろな人がいるが、新人監督に対して、結果論で無慈悲な言葉を浴びせかけるのを見ると「何様のつもりだ」という気になる。

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もう一つ、台湾での日本人選手の不行跡について。
これを報じたのは、日本人選手の後をついてまわった台湾のメディアだ。彼らには、日本人選手を守る義務はない。彼らのやったことをそのまま書き立てるだけだ。
それを日本のファンがショックに思うのは、日本の新聞、テレビなどのメディアは、選手の不行跡を目にしても一切書かないからだ。日本のメディアは去勢されている。記者はもはやジャーナリストではない。
坂本や、大野や、秋山らNPBのスター選手は、日本でも同じようなことをしている。メディアはそれを知っている。しかし書かない。
別件ではあるが、野球賭博疑惑に大きな危機感を抱くのも、NPB選手たちのインモラルな日常があるからだ。

国際試合は、こうしたNPB選手の知られざる部分が見えるという点でも、意義深い。


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