今季のNPBの成績を見ていると、ほとんどのチームで捕手が打線の穴になっていた。
12球団で主として捕手として試合に出場した選手の打撃成績。RC順。

Catcher


1位はヤクルトの中村悠平、規定打席をクリアしているのもこの選手だけ。しかし打率は最下位の.231。
2位は炭谷銀仁朗。炭谷は今季西武が記録した13連敗中、ほぼマスクをかぶり、得点機に何度も凡退して「穴」と言われたが、それでも2位。
3位は嶋。最近の嶋は守備というより「打てる捕手」として評価が高いのではないかと思われる。
結局、この3人が「侍ジャパン」にも選出された。
打撃だけで言えば伊藤光も選ばれてしかるべき選手だった。
100打席以上で最も打率が良かったのは39歳、今年ヤクルトから巨人に移籍した相川だった。

規定打席に達した選手が1人しかいないのは、正捕手が固定できないうえに、打撃が脆弱なため、代打を送らざるを得ないからだろう。

阿部慎之助は今季、「主として捕手として試合に出場した」とは言えないが、衰えてもこの中に入れば抜群である。
この表には30代後半のベテランが何人もいるが、ベテランが出場機会を得ることができるのは、打てる若手が育っていないからだ。

昔から「打てる捕手」は例外的な存在だった。土井垣武、藤尾茂、野村克也、木俣達彦、田淵幸一、中尾孝義、古田敦也、矢野燿大、城島健司など、主軸を打った捕手は多くないが、それでも常にリーグに2、3人はいたものだ。
阿部慎之助以降、強打の捕手は出ていない。

打てる捕手を他のポジションにコンバートする傾向があることが挙げられよう。ここ20年で言えば山﨑武司、和田一浩、小笠原道大などがあげられる。
負担を軽減して、打撃に専念させようということだ。今年売り出した森友哉、近藤健介もそうなるのではないか。
しかし打てる捕手は、打線の穴をふさぐだけでなく投手の信頼も得てチームリーダーになりうる。

もう一つ、そもそも良い素材の捕手が入団していないということもあろう。
捕手は人気のあるポジションではない。重労働の上に目立たない。プロに入団しても年俸は上がらない。人材不足になっていると思われる。
新人捕手もぱっとしない。

その結果として、捕手はつぶしが利くポジションになっている。戦力外になっても他球団が「念のため」に抱えるケースが多い。トライアウトでも投手に次いでピックアップされる可能性が高い。

古田敦也のようにスター選手が出現することで、捕手日照りは緩和されるのかもしれない。
しかしわくわくするような捕手がいないのが、物足りなく思えるのは事実だ。


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