スポニチ
去就が注目されていた広島・黒田博樹投手(40)が残留して来季も現役を続けることが8日、決まった。黒田本人から連絡を受けた鈴木清明球団本部長(61)が明らかにした。
黒田の胸の内はもちろんわからないが、本当は今年で引退したかったのではないか。
黒田はニューヨーク・ヤンキースで、マリアノ・リベラやデレク・ジーターの引退を見ている。力がなくならないうちに身を引く方が潔いと思っているのではないかと思う。
そもそも、黒田が昨年、高額の年俸を得る可能性を捨ててNPBに帰ってきたのは、MLBでファンの期待に応える活躍をする自信がなくなったからだと思う。
昨年、広島に入団した時に、黒田は
「ドジャースの最終年からヤンキースに移籍した3年間は毎年1年契約させてもらっていました。年齢的な部分を考えても残りの野球人生は長くないと思っていますし、いつ最後の登板になっても良いという気持ちでやっています」
と言った。
ベテランになってから、黒田は年俸や待遇ではなく、自身の引き際を最も重要視していたのだ。
チームに迷惑をかけたり、みっともないところを見せないうちに、引退したいという思いがあったのだろう。
今年の黒田は、40歳とは思えないパフォーマンスを見せた。規定投球回数に達して11勝を挙げ、防御率もリーグ平均を大きく上回る2.55だった。
恥ずかしくない成績を上げたと言ってよいだろう。
黒田としてはこのタイミングこそが、引退表明の時だったのではなかったか。
力を残して、広島のファンにも十分にパフォーマンスを見せたうえで、きれいに身を引くことができる。
シーズン終了時に黒田は
「苦しかった。完全燃焼できたと思います。野球を続けるにしても覚悟がいるので、簡単に決められない」と語った。
また12月には
「今年は野球人生でも最高のモチベーションで入った。それなりの覚悟と高いモチベーションで帰ってきた。今まで以上にやってきて、これを超えるモチベーションを探すのは難しい」
と語っている。黒田にしてみれば、今年はまなじりを決したシーズンだったのだ。それは「引退」の2文字を胸に秘めていたからだ。
しかし、周囲はそうは思わなかった。
これだけのパフォーマンスを見せたのだから、黒田は来季もやってくれるはずだ。
しかも広島は、今季、優勝はおろか、ポストシーズン進出も逃している。やり残した宿題はあるにはあったのだ。
さらに、前田健太のポスティング・システムでの移籍の問題もあった。
今季の広島は新外国人左腕のクリス・ジョンソン、前田健太、黒田博樹が3本柱だった。
このうち2枚が欠けるのは、来季の構想に致命的なダメージを与える。
そういう黒田自身の問題とは無関係の「世間の事情」が、黒田を取り巻いた。やめるにやめられない事情が、黒田の足元に沈殿していった。
四十男の黒田は、もう子供でも無鉄砲な若者でもない。周囲の状況を勘案して、現役続行を決めたのだろう。
これまで重要な決断は、すべて自身の意志を優先して決めてきた黒田だが、この決断は自分の意志を折り曲げて「浮世の義理」で下したものだろう。
昨年より1歳年を取る。しかもモチベーションは昨年の比ではない。
「投手黒田博樹」という映画は「完」の文字を打ちかけた刹那にもう1シーン追加することになった。果たして美しいエンディングを迎えることができるだろうか。
お断り:これはあくまで私の批評、感想であり、取材記事ではありません。世の中にはそういうジャンルもあります。そのことがわからないで、場違いなコメントをされる方が最近多いので、念のために書いておきます。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
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黒田はニューヨーク・ヤンキースで、マリアノ・リベラやデレク・ジーターの引退を見ている。力がなくならないうちに身を引く方が潔いと思っているのではないかと思う。
そもそも、黒田が昨年、高額の年俸を得る可能性を捨ててNPBに帰ってきたのは、MLBでファンの期待に応える活躍をする自信がなくなったからだと思う。
昨年、広島に入団した時に、黒田は
「ドジャースの最終年からヤンキースに移籍した3年間は毎年1年契約させてもらっていました。年齢的な部分を考えても残りの野球人生は長くないと思っていますし、いつ最後の登板になっても良いという気持ちでやっています」
と言った。
ベテランになってから、黒田は年俸や待遇ではなく、自身の引き際を最も重要視していたのだ。
チームに迷惑をかけたり、みっともないところを見せないうちに、引退したいという思いがあったのだろう。
今年の黒田は、40歳とは思えないパフォーマンスを見せた。規定投球回数に達して11勝を挙げ、防御率もリーグ平均を大きく上回る2.55だった。
恥ずかしくない成績を上げたと言ってよいだろう。
黒田としてはこのタイミングこそが、引退表明の時だったのではなかったか。
力を残して、広島のファンにも十分にパフォーマンスを見せたうえで、きれいに身を引くことができる。
シーズン終了時に黒田は
「苦しかった。完全燃焼できたと思います。野球を続けるにしても覚悟がいるので、簡単に決められない」と語った。
また12月には
「今年は野球人生でも最高のモチベーションで入った。それなりの覚悟と高いモチベーションで帰ってきた。今まで以上にやってきて、これを超えるモチベーションを探すのは難しい」
と語っている。黒田にしてみれば、今年はまなじりを決したシーズンだったのだ。それは「引退」の2文字を胸に秘めていたからだ。
しかし、周囲はそうは思わなかった。
これだけのパフォーマンスを見せたのだから、黒田は来季もやってくれるはずだ。
しかも広島は、今季、優勝はおろか、ポストシーズン進出も逃している。やり残した宿題はあるにはあったのだ。
さらに、前田健太のポスティング・システムでの移籍の問題もあった。
今季の広島は新外国人左腕のクリス・ジョンソン、前田健太、黒田博樹が3本柱だった。
このうち2枚が欠けるのは、来季の構想に致命的なダメージを与える。
そういう黒田自身の問題とは無関係の「世間の事情」が、黒田を取り巻いた。やめるにやめられない事情が、黒田の足元に沈殿していった。
四十男の黒田は、もう子供でも無鉄砲な若者でもない。周囲の状況を勘案して、現役続行を決めたのだろう。
これまで重要な決断は、すべて自身の意志を優先して決めてきた黒田だが、この決断は自分の意志を折り曲げて「浮世の義理」で下したものだろう。
昨年より1歳年を取る。しかもモチベーションは昨年の比ではない。
「投手黒田博樹」という映画は「完」の文字を打ちかけた刹那にもう1シーン追加することになった。果たして美しいエンディングを迎えることができるだろうか。
お断り:これはあくまで私の批評、感想であり、取材記事ではありません。世の中にはそういうジャンルもあります。そのことがわからないで、場違いなコメントをされる方が最近多いので、念のために書いておきます。
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仮に今年優勝し、成績も上々だったとしても、引退したかどうか。
彼の引き際は、成績やチームによる因果関係よりも、決して脚光を浴びずとも、淡々と投げる姿勢が作り出す気がします。
ヒーロー然としたストーリーではなく、職人が静かに道具を置くような趣になるのではないでしょうか。