朝日新聞
四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスは、阪神などで投手として活躍した県出身の江本孟紀氏(68)が、来季から監督やコーチの人選や広報活動にあたる総監督に就任すると発表した。(中略)昨季から指揮を執っていた弘田澄男監督の退団も発表された。江本氏を中心に後任の人選を進める。

今年の夏、雨の残る高知の山地の練習場で、弘田監督に話を聞いた。その内容は、「読む野球9」に書いたが、インタビューは記事の数倍のボリュームがあった。弘田さんは90分以上話し続けた。



小さな体でライバルを押しのけ、レギュラーの座を確保し続け、引退後も指導者として阪神、横浜、巨人、さらにはWBCのコーチなどを歴任。三割2回、最多安打1回。ベストナイン2回、ダイヤモンドグラブ5回。体を張ってキャリアを積み重ねてきた。
そんな弘田さんにしてみれば、高知の選手は歯がゆくて仕方がなかった。
NPBに行くには、今のままではだめだ。もっと頭を使って、工夫をしなければならない。もちろん、努力も足りない。用具のことも知らなければ、トレーニングの方法も知らない。なぜもっとどん欲にならないのか。そして言われたことをなぜずっと続けないのか。

弘田さんは、選手たちが住む寮に出向いて。生活面の指導もしていた。ドアを叩いて選手を起こしもした。
せっかく良い素材を持っているのに、このままでは終わってしまうという切迫感があって、厳しく指導していたのだ。
藤川球児の加入では、公式戦で投げてくれるかどうか、気をもんでいた。圧倒的な格の違いがある選手を使うのは、難しいことだった。

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台湾から加入した主軸打者が、CPBLのドラフトで指名されて離脱したのも痛かった。
広島カープから預かったドミニカのアカデミー出身の外国人選手の扱いにも苦労した。
環境も、選手のステイタスも、選手自身の意識もNPBとは違うのだ。そして選手は実に頻繁に入れ替わる。そのギャップを何とか埋めようと努力した。

しかし、独立リーグは教育リーグではない。地元の期待を背負ってペナントレースを戦っている。高知は以前からとにかく弱かったが、それでも前後期最下位という結果を前にしては退任するしかなかった。すでに10月末には退任が決まっていた。

弘田さんのことをうるさい親父だと思っていた選手もいたかもしれないが、NPBの厳しさを何とかして伝えたいと頑張ったその気持ちは、高知のDNAとして受け継がれてほしい。

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江本孟紀氏は、指導者の経験はほとんどない。しかし、外部から30年以上野球界に対して発言をしてきた。ときには極端な発言もあったが、歯に衣着せぬ発言は、大きな影響を与えた。
部外者で一介の素人に過ぎない私などがこう言うのは、烏滸の沙汰だが、高知の地で独立リーグをつぶさに見て、このリーグがどんな役割を果たしているのか、そして野球の発展ために独立リーグをどのように活かすべきかを考えてほしい。
そして政治家としてのキャリアを活かして、膠着したままのNPBとの関係を、新たな段階に進めてほしい。


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