ざっくりと、ではあるが、NPB、MLB、Jリーグの公式サイトのコンテンツの比較をしておきたい。
NPBの公式サイトは、見栄えこそよくなったが、コンテンツは何ら変更がなかった。むしろ、記録関係は階層が深くなったり、複雑になったせいで探しにくくなった。改悪と言ってよい部分もあるのだ。
「一般の人はそんなもの気にしていない。ヲタクだけだ」との見方もあろうが、では、NPBの公式サイトをわざわざ見に来る人は、何を求めているのか、しっかり分析をしているのか、といいたくなる。旧態依然の構造の上に、小ぎれいな包み紙をかぶせただけである。
利便性は全く高まっていない。

3つの公式サイトのコンテンツの比較。▲は不十分ながら載ってはいますというもの。

HP-Hikaku


コンセプト:
Jリーグはサッカー界全体を代表するサイトという色合いが強いので、コンセプト部分が手厚い。特に憲章、コンセプトはサッカー全体の将来を見据えたものであり、非常に説得力がある。
MLBは、公的性格よりもビジネス、マーケティング的な性格が強い。エージェント、スポンサーの募集やリクルーティングなどをサイトで積極的に行っている。
NPBは、定款と事業計画、事業報告はあるが、それ以外はなし。この機構そのものがノーコンセプトで動いているから仕方がないが。野球協約も載せていない。これは、選手会のサイトでしか見ることはできない。NPBが「選手との取り決め」など業界内部のことは、一般の人間が知らなくてもよい、と思っていることがここでもわかる。

ニュース:
MLBは情報発信に非常に熱心だ。毎日、恐ろしい数の情報を発信している。
Jリーグも情報発信には熱心だ。オンタイムで発信している。
NPBは、最低限の情報発信にとどまっている。NPBの場合、12球団の公式サイトが熱心に情報発信をしているので、そこまでしなくてよいという認識だろう。最大の問題は、公式戦の放送予定を告知していないことだ。ファンの関心を集めることにはまったく冷淡だ。

ジャーナリズム:
MLB、Jリーグが記者や専門家の批評、評論を積極的に掲載しているのに対し、NPBはその手のコーナーは皆無。ジャーナリスティックな側面は皆無である。

MLB-HP


■チーム公式サイトとの関係
機構と各チームの公式サイトとの関係も大きく異なっている。
MLBは各チームの公式サイトと実質的に一体化している。各チームの公式サイトは同じフォーマットであり、同じ位置に同じ情報がある。
Jリーグ、NPBの各チームのサイトは独自の運営であり、フォーマットはばらばらだ。ただしNPBではパ・リーグの6チームは同じフォーマットになっている。利用者にとってはフォーマットの統一は重要だと思うが。
NPBの公式サイトから各球団のサイトに行くには、これまで2クリックが必要だったが、今回のリニューアルで各球団のアイコンがトップ画面最上部に表示され、遷移しやすくなった、

トップリーグの情報発信:
NPBはレギュラーシーズン、ポストシーズン、特別試合の結果を翌日には更新している。
しかしオンタイムでの速報は行っていない。
動的なサイトが全くなく、ソートなどもできない。動画など夢のまた夢という感じである。
侍ジャパンは別のサイトがあるので、そちらで動画を見ることができる。またPLMがパ・リーグの動画を配信している。
MLB、Jリーグにとっては、これがメインコンテンツであり、力を注いでいる。

STATS関係は、NPBは翌日更新をしているが、それも動的なものではなく、単なるテキストである。また過去のSTATSは、2005年以降のごく一部が公開されているのみ。
スポーツ紙や私的な記録サイトでも、投手、打者の成績はチェックすることができるが、守備成績はNPBの公式サイトからしか取れない(Basebell Referenceが昨年からNPBの守備STATSを公開しているが)。ソータブルになっていないうえに、リンケージもないので、非常に利用しづらい。
おそらくNPBは、「これは一般人のために公開しているのではない」という認識なのだろう。
MLB、NPBはデータを詳細に公開している。MLBは過去の19世紀からのSTATSを詳細に公開している。
選手関連の情報、NPBのサイトは投手の打撃成績を加えるなど充実してきた。しかし、過去の選手については皆無だ。
MLBは19世紀以来の選手のプロフィール、STATSを完ぺきに整備している。
Jリーグは検索をすれば過去の選手のデータも出てくるが、非常に使いにくい。

JL-HP


下部リーグの情報発信:
NPBの二軍の情報も公式サイト以外では見ることができない。試合結果は一軍と同じフォーマットで公開している。2005年以降の情報は公開しているが、それ以前はない。選手個々のキャリアSTATSもない。
MLBは、マイナーリーグの専門サイトを立ち上げ、MLBとほとんど変わらない内容の情報をオンタイムで公開している。
JリーグはJ1,J2,J3を並列で紹介している。下部リーグという概念ではないと思われるので、この表からは除外。

NPB-HP


NPBは、町役場という感じである。情報公開はしているがそれは義務的なものであり「別に見てもらわなくてもよい」という姿勢だ。
スポーツ紙や専門サイト、球団公式サイトが積極的に情報発信しているからだろうが、「日本のプロ野球を担って、発展させる」という自覚はない。このサイトでしか見られない情報がたくさんあるのに、不親切でレベルが低い。
MLBは商業サイトだからビジネスチャンスを作るべく熱心に情報発信するのは当然だ。
またJリーグは、サッカー人気を担っていくという使命感が感じられる。

包み紙がきれいになったのは良いことだが、思想を変えないといけないだろう。まだまだ道は遠いという感じだ。


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