大谷翔平が、筋トレを続けて巨大化している。生まれて初めて100kgをオーバーした。賛否の声が上がっている。
サンケイ
「大谷はただでさえ高い出力なのに、あれ以上強い力を出すとなると肩や肘への負担も考えなくてはいけない。もちろん、そこも考えて周囲の筋肉を鍛えているのだろうが…」

東スポ
理化学研究所情報基盤センター、姫野龍太郎博士はそう言って首をひねった。
「下半身や体幹はいくら強くしても構わないが、上半身、特に腕に筋肉をつけるのはよくない。筋肉がつくと腕が重くなり、速く振れなくなったり、加速するのに余計なエネルギーが必要になる。結果として、同じフォームを維持できなくなる」


昔から投手は筋肉のしなやかさをキープするのが必要だと言われてきた。筋トレはおろか、重たいものを持つのもよくないという指導者もいた。
投手は投げ込む以外は、ひたすら走って下半身を鍛えるものだとされてきた。

金田正一
「“アメリカでは皆やっている。やっていないのは日本だけだ”などと抜かすが、何もわかっとらん。100キロ近く体重があるような選手が多いアメリカと、70~80キロくらいの選手が中心の日本では、鍛え方が違って当然なんだよ」
金田は筋トレは日本人にとって弊害だらけだという。
金田の考え方の根底にあるのは、「速球は上半身のパワーではなく、下半身の安定感で出す」ということだ。そうでないと肩やひじに負担がかかって故障やけがをする。また、制球力もつかない。

しかしそれは金田の言う通り小さな日本人投手が、日本人打者を相手に投げていた時代の常識なのだろう。MLBを目指す投手は、筋トレをして、上体のパワーをつける必要があるのではないか。

2010年オフ、ダルビッシュ有も筋トレをして上体を巨大化させた。このときも賛否両論の声があった。2011年開幕の西武戦で7回7失点と打ち込まれたときは「筋肉が邪魔をして制球ができていない」と批判された。
しかしその後のダルビッシュは、打者を全く寄せ付けず、ERA1.44という空前の成績を残した。
そして翌年、MLBに挑戦した。

筋トレの効果が明らかになったことで、多くの投手が筋トレを始めた。
実はダルの前に桑田真澄なども筋トレをしていたが、これはあまり注目されなかった。彼がすでにキャリア晩年を迎えていたからだ。やはりトップアスリートが結果を出すことで、追随者が出たのだ。

澤村拓一もその一人だったが、ちょうど先発から救援に回った時期であり、結果も出なかったので「筋トレヲタクは、滅亡につながる」と批判された。しかし、澤村は昨年36セーブ、ERA1.32と見違えるような成績を残した。

今ではインナーマッスルを筋トレで鍛えることにより、球速も上がるし、故障予防にもなるという説も出てきている。

筋トレが投手にとってプラスではないかというファクトはどんどん出てきているが、ダメだと確実に言えるファクトはほとんどない。
そして40年も前に引退した元選手たちが自分たちの時代に通用した理屈で反論しているという図式だ。
また、その他の批判者も、理屈だけで、それを実証していない。筋トレをしたからと言ってすべての投手が成功するわけではないだろうから、失敗事例も出てくるだろうが、その失敗が批判者の理屈によるものなのかどうかも不明だ。

大谷翔平は、筋トレのパイオニアであるダルビッシュの指導でトレーニングをしている。
二人ともに並の日本人とは破格の体躯を持っている。
大谷翔平の筋トレ、巨大化は、彼がダルビッシュがたどった道をたどり始めたことを意味している。
ダルビッシュは7年NPBに在籍してMLBに移籍した。大谷翔平は今年4年目。もう少し早くMLBに行くことになるかもしれない。

Dar-Otani



クラシックSTATS鑑賞
2015年福井優也、全登板成績【2ケタ勝利まであと一歩の9勝】

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!


好評発売中