いよいよ最終回。
最後の2冊。少年漫画としていかがかと思う表現もあるが、ともかくすさまじい大団円だった。

巨人の星 黎明編、青雲編、熱球編|談論 野球漫画

「巨人の星」甲子園からプロ入りまで |談論 野球漫画

「巨人の星」大リーグボール1号完成まで|談論 野球漫画

「巨人の星」大リーグボール1号の完成と挫折|談論 野球漫画

「巨人の星」大リーグボール2号の破たんと伴宙太との別れ|談論 野球漫画

18巻 苦闘編

失意の星飛雄馬は昔住んでいた長屋を訪れるが、そこは取り壊され、スーパーマーケットになろうとしていた。
京子はやくざの大親分によって「エンコヅメ(小指切断)」させられようとしていた。飛雄馬はやくざの事務所に乗り込み、ナイフをふるって京子を助け出す。しかし京子の小指は神経が切れていた。
星は川上監督からオールスターのメンバーに選ばれていることを知り、参加する。
後楽園での試合、星が投じる大リーグボール2号を野村克也はヘルメットを落として安打にし、続くアルトマンは全身に水をかぶって安打にする。2号は完全に敗れる。
しかし星は左門など他の選手と新幹線で大阪球場に向かう。車中には京子も乗り合わせていた。
京子は左門にリンゴをほってよこすが、小指の神経が切れている京子が投げたリンゴを左門はキャッチすることができない。これを見ていた星飛雄馬は何事かを悟る。
大阪球場、星はマウンドにあがるやアンダースローで投げる。制球が定まらず、四球を出すがストライクゾーンに来た球は野村も、アルトマンも、張本勲も空振りする。

やくざの事務所でナイフをふるっちゃいかんでしょう。清原和博どころじゃない。ばれれば永久追放ものだ。当時は任侠映画が全盛であり、こういうのはありだったのだ。
アルトマンは私の記憶では「あしながおじさん」長身、細身の選手だったが、漫画では丸々と太っている。彼は日本で癌になったが、その前ということか。
永射保はまだプロ入りしていない。左のアンダーが極めて異例なことを梶原一騎は知っていたのか?

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19巻 巨星編

花形満は大阪に明子が住んでいることを突き止めて食事に誘う。
雑誌社の緊急座談会で、野村、張本、アルトマンが集う。星飛雄馬のあの球は「バットをよける魔球」ではないか、大リーグボール3号だ、という話になる。
大リーグボール3号の快進撃が続く。
左門はボールの秘密に気づきかけるが、やはり3号は打てない。投手の平松政次が安打を打つが、野手はことごとく凡退。
伴は星一徹コーチの示唆で大根切りで星に挑む。しかし大リーグボール3号は打てない。
漫画家になっていた青雲高校の仲間、牧場は星たちをモデルにした連載漫画で人気を博していたが、編集者から星飛雄馬が病院に通っていて、医師から無理な投法のためにいつ左腕が「ピシッ」と音を立てて壊れてもおかしくない状態であることを聞く。
次の対戦、星一徹コーチは伴にベンチで逆立ちをするように命じる。
星の大リーグボール3号は冴えわたり、中日相手に9回2死まで完全試合。伴はよれよれの姿で打席に立ち、ライトフェンスに当たる安打を打つ。まさにその球で飛雄馬の腕が「ピシッ」と鳴った。
しかしよれよれの伴は這って一塁にタッチする。ボールが戻ってくる。アウトか、セーフか。川上監督は「完全試合だ」と全選手を引き上げる。
星飛雄馬は父、一徹から「わしら親子の勝負は終わった」と告げられる。
巨人は優勝、翌年、左門豊作と京子の結婚式があげられる。教会の外からそれを見届けた星飛雄馬はいずこともなく去っていく。

このエンディングは後の「子連れ狼」を想起させる。小池一夫に大きな影響を与えたのではないか。
完全試合が達成されたのかどうかは謎のままだ。
星飛雄馬は1967年から70年まで、わずか4年の在籍。野球界を去ったのは19歳のことだと思われる。
散髪屋の待合室で最終回を見た記憶がある。とにかく衝撃的だった。

このころになると、美空ひばりなど実在の人物がたくさん登場する。梶原一騎の交友範囲が広がったことを意味していると思う。


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