「新巨人の星」は、大団円とはいかない。不可解な終わり方をする。


噴火の章、不死鳥の章 第5巻

大スター鷹ノ羽圭子に一目ぼれしたのは伴宙太のほうだった。星飛雄馬ははかない恋に終わって死別した奈美の面影を抱きながらも圭子に心惹かれる。
伴は鷹ノ羽圭子が力を入れる孤児院の事業に協力し、CMまで作る。
飛雄馬は嫉妬に駆られながらも野球に打ち込む。そこにロメオ南条までもが割り込んで、圭子にアプローチする。
嫉妬に苦しんだ飛雄馬は屋台のおでん屋で一徹に相談をする。一徹は「わしなら友情を取る」と断言する。
しかし妄念が抜けない飛雄馬は阪神戦で挑発するロメオ南条と暴力沙汰を起こす。
実は鷹ノ羽圭子が心を寄せているのは星飛雄馬だった。その告白を彼女から聞いた牧場は伴にそれを言いに行く。伴は星を酒席に誘い痛飲する。
翌日、巨人軍合宿の近くで撮影があった鷹ノ羽圭子は、星飛雄馬に歩み寄るが、飛雄馬は顧みることなく去っていく。
星はその後も快投するが、日本シリーズでは速球をとらえられ打たれる。
星一徹はこの状況を打開するのは「大リーグボール右1号じゃ」と看破。
オフのゴルフで星飛雄馬はそのヒントをつかむ。

なんとも重たいラブストーリーだ。牧場はさいごまで「いらんことしー」である。
しかし鷹ノ羽圭子と星飛雄馬の訣別のシーンは本当に美しい。こういうのが描けるから梶原一騎は今も読まれるのだと思う。



新魔球の章 第6巻

星一徹、伴を交えた魔球の開発が進む。人に知られるのを避けて3人はハワイで特訓に励む。
この様子をこの年からコーチに復帰した与那嶺要が見て長嶋に報告する。
キャンプで飛雄馬は長嶋に新魔球を披露する。
それはボールが3つに分かれる魔球だった。打者も打てないが、捕手の山倉も取れなかった。
星と山倉は新魔球を捕るために特訓をする。星一徹が現れ秘策を伝授する。
キャンプ、取材陣との親善試合で長嶋監督は飛雄馬に3つに分かれる魔球を披露させる。
「大リーグボール右1号」は大ニュースとなる。
オープン戦からシーズン開幕へ、星飛雄馬の快進撃が続く。魔球は「蜃気楼」と名付けられる。
花形満も左門豊作もこの球は打てない。ロメオ南条は魔球が体力を消耗するところにつけ込み、他の球を投げるときに投手返しで飛雄馬を攻略する。
星一徹は長嶋にまた秘策を伝授する。
それはロメオ南条の投手返しを星が身をかわし、後ろに三塁の高田繁、その後ろに遊撃の河埜和正を待機させるというものだった。この策が見事に成功し、ロメオ南条は敗れる。
しかしその直後、花形満は「蜃気楼」の秘密を看破、次の対戦で本塁打を打つ。
それはボールが3つに分かれても、2つは「蜃気楼」だから実態がなく影ができない。影ができたボールを狙い打ちすればいいというものだった。
左門豊作もこれに気づき痛打するが王貞治に好捕される。
失意の星飛雄馬、横浜の港を歩く飛雄馬に伴と一徹が駆け寄り「大リーグ右2号」を作ろうと星を励ます。

これで終わりである。連載が不評で打ち切りになったのか、梶原一騎が嫌になったのかはわからないが、なんとも踏ん切りがつかない。
大リーグボール右1号の原理は明かされなかったが「影」で見破るとは、忍者漫画のようだった。

単行本には飛雄馬が最初に巨人を離れてから宮崎の高校の球児を相手に繰り広げたドラマが収録されている。暴力沙汰あり、ドンパチあり。本題とは関係ない。

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