すわ、野球賭博の続報スクープか、と思ったが、そうではなかった。しかしいろいろと事件の詳細がわかってきた。
笠原のギャンブルが本格化したのは、既報のとおり、飲食店関係者のBと笠原が始めたのがきっかけ。Bを笠原は兄事していて、寮を出て一人暮らしをするときもBの家の近所にしたという。
ギャンブル好きだった笠原は、別のルートでギャンブルの誘いがあった大学院生Aとも賭け麻雀をするようになった。
A、Bともに暴力団関係者、あるいはそのネットワークの一員だったと思われる。

Aは40代、不動産関係の社員だったが、税理士を目指して愛知県内の大学院に通っていた。
笠原は学生時代の先輩を通じてAを知ったが、今号の「週刊文春」にははっきりと
「Aさんが元中日ドラゴンズの立浪(和義)さんと懇意にしていたからという部分も大きかったです」
と書かれている。
野球とばく事件が発覚した時に、東京スポーツに立浪の関与をにおわせる記事が載った。立浪は
「Aとは携帯電話の番号を教えあう仲だが、無関係」
と語った。そのこと自体もかなり問題があるが、今回の笠原の話で、立浪の疑惑は深まったと言ってよいだろう。

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Bのルートはお遊び程度だったが、Aのルートは本格的なもので、Aは「他にも(麻雀ができる人)誰かいない?」と聞かれて、福田聡志を紹介した。
福田は深みにはまって、ついには笠原を抜きにしてAとの賭博を始めた。

A、Bと巨人の選手は当初は賭け麻雀をしていた。

それ以前に巨人の二軍選手は、練習後にロッカールームでポーカーなどのトランプや高校野球のトトカルチョをしていた。
また約10人が賭け麻雀を常習的に行っていた。さらに裏カジノに出入りしている選手もいた。

そういう素地があったうえで、笠原をきっかけとしてA、Bとの交流が始まったのだ。

最初は賭け麻雀だったが、2014年の春にBの店で笠原は野球賭博を始める。さらにAのルートでも野球賭博をやりだす。
笠原はロッカールームで人目を気にしながら携帯で野球賭博をしていたという。プロ野球チームに賭けたが、巨人の試合には賭けなかったという。

前述のとおり、そのときには福田聡志は笠原よりも深みにはまっていて、Aやその知人男性との間に少なくとも195万円の借金があった。それ以外にも未精算の借金があり、トラブルになっていた。笠原は間に立って自分が100万円を立て替えることで調整しようとしたが、話し合いは決裂。
福田は「(取り立てに)来れるものなら来てみろ」と言ったために、Aが実際に取り立てに行ってこの事件が発覚した。

笠原ら3人は当初「食事を賭けていただけ」と口裏を合わせていた。またメールのやり取りは全部消去していたが、球団が3人の携帯を取り上げて、メール記録を復活させたことで金銭の授受が発覚、逃れられなくなって3人は野球とばくをしていたことを白状した。

球団の取り調べは大変厳しいものだった。野球機構の取り調べはそれほどでもなかった。

こういう形で3選手は追放された。



笠原によるとBとのギャンブルはお遊び程度だったということだが、Bは妻とともに韓国に逃亡しているという。この人物も相当問題がある。

しかし3人以外のロッカールームでポーカーをしたり、外で賭け麻雀をしていたり、裏カジノに出入りしていた巨人選手はおとがめなしだった。
もっとも深入りをした3人の首を刎ねることで線引きを図り、事態を収拾した。

こうした事実からわかるのは、巨人の二軍選手は、ギャンブル、さらには野球賭博について「プロ野球選手がしてはいけないもの」という認識がなかったことだ。一言でいえば社会的な常識がない、野球馬鹿だったということだ。

スタジアムのロッカールームでポーカーや高校野球のトトカルチョをすること自体が言語道断だと思う。
残る選手も少なくとも名前を公表して、謹慎処分にするなり、罰金を取るなりして明確なペナルティを科すべきだろう。
そうでなければ「のど元過ぎれば熱さ忘れる」で、しばらくたてばロッカールームでトランプをし始めるのではないか。こういう風土を根絶するためには厳罰が必要だと思う。

新聞やテレビの記者は、自分たちの目の前で選手たちがトランプをやり始めたら「まさか、お金賭けていませんよね」くらいは言うべきだ。
目に余るものであれば、球団に通報し、記事にすべきだ。
そういう告発に対して、球団は「出禁」などの処分をしないことを取り決めすべきだ。

巨人は野球以外の教育はほとんどしていなかった。
この事件で巨人の原沢敦球団代表が辞任に追い込まれたが、球場内で投手を中心に十数人もの選手が常習的に野球とばくをしていたということなのだから、ユニフォーム組の斎藤雅樹二軍監督や、田畑一也二軍投手コーチの管理責任も問われてしかるべきだろう。

NPBは「野球賭博はしてはいけません」という幼稚園レベルのお話を選手にすることで責任を果たしたと言っているが、コンプライアンスの意識の欠けた若者に対しては
「ギャンブルをした選手はこうなる」
「野球賭博をした選手はこうなる」
と必罰をはっきり提示して、ギャンブルがプロ野球選手にとって「破滅」であることを徹底周知させるべきだろう。


長嶋茂雄安打あれこれ

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