2年前、私は四国アイランドリーグをずっと追いかけていた。四国各地をめぐっていろいろな球場で試合を見ていた。
四国は4県のチームに加え、ソフトバンク・ホークスの三軍との試合も組まれる。
香川県高松や愛媛の宇和島などの試合でソフトバンクとの試合を見た。
ソフトバンク側はあまり観客がいなかったが、宇和島の試合では珍しく、団体でホークスを応援するお客がいた。
その近くで観戦していたのだが、どうやらそのグループは三軍の選手たちの家族のようだった。
休みの時など家族会で車を出して選手を応援しているのだという。
中で、朗らかに笑って選手を応援している中年の女性がいた。
「白根、4番打ってる選手、覚えといてね、うちの息子なの」と周囲に語りかけている。
白根尚貴の母親らしかった。
「うちの子、プロに入ってすぐに手術をして、苦労してるのよ。やっと試合に出られるようになって」と話し続けている。
白根は島根県松江市出身。開星高校時代には甲子園に3度出場し、投手として活躍。
2012年にドラフト4位でソフトバンクに入団するが、すぐにトミー・ジョン手術を受け、2年間を棒に振った。
2013年には復帰するが主に三軍でプレーする。
2014年は三軍の主軸としてトップの10本塁打を打つ。不動の4番だった。しかしこの年オフに支配下選手から、育成枠に。
2015年は三軍でも二軍でも主力選手として活躍した。フレッシュオールスターにも選出されたが、チームはオフに育成枠で再契約しようとした。
しかし白根は支配下枠の選手になることを希望。チームは白根を自由契約とした。
白根はソフトバンクを離れた後、12球団トライアウトに参加し、DeNAに入団が決まる。
DeNAでは支配下登録された。春のキャンプは二軍スタートだったが、すぐに一軍に呼び寄せられた。
まさに彼が一軍に呼び寄せられたその日に、私はキャンプを見に行った。三塁の守備位置にいる白根を見たときは、ちょっとした感慨があった。
12球団でもずばぬけて層が厚いソフトバンクで下積みで終わりそうだった好素材が、層の薄い球団で脚光を浴びつつある。
これも野球人生だな、と思った。
長嶋茂雄安打あれこれ
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
↓
好評発売中